ホマロケファレ

ホマロケファレ

Homalocephale

ホマロケファレとは

学名(属名) Homalocephale
名前の意味 平坦な頭
homalos(平らな)[ギリシャ語]-kephale(頭)[ギリシャ語)
分類 鳥盤目・周飾頭類(周飾頭亜目・堅頭竜下目・パキケファロサウルス科)
全長 約1.5m〜3m (一般的には約1.8〜2m前後)
体重 約43〜50kg
食性 植物食
生息時期 白亜紀後期(カンパニアン期末期〜マーストリヒチアン期:約7200万年前〜6600万年前)
発掘地 アジア(主にモンゴル南部 ゴビ砂漠周辺地域・ネメグト層)
下分類・種名 Homalocephale calathocercos
※種小名 calathocercos は「籠(かご)の尾」を意味し、尾を補強する骨化した腱の構造に由来。
論文記載年 1974

ホマロケファレ : 特徴

ホマロケファレの頭骨化石
ホマロケファレの頭骨化石(2014年撮影)
堅頭竜(石頭竜)としては珍しく、頭頂部は平らになっています

ホマロケファレは、白亜紀後期のアジアに生息していた堅頭竜(石頭竜)に分類される恐竜です。全長は約1.8〜2m、体重50kg前後と推定されています。
他の堅頭竜とは異なり、頭頂部にドーム状の隆起はなく、平たくなっていました。この特徴は属名(平坦な頭)の由来にもなっています。頭頂部が平坦とはいえ、骨組織自体は通常の恐竜と比較して極めて厚く補強されていました。

ホマロケファレに関しては、かつてユニークな説が提唱されたことがあります。発見された標本の骨盤の幅が極端に広いことから、「卵を産むのではなく、お腹の中で孵化させて子供を産む『卵胎生』だったのではないか」という説です。

しかし、その後の研究では、恐竜類全般において卵生が基本であることから、現在この卵胎生説を支持する研究者はほとんどいません。極端に広い骨盤は、植物の消化効率を高めるための巨大な腸を収めるスペースであったり、種内闘争(仲間同士の争い)の際の押し合いにおいて、重心を下げ、安定性を高めるための力学的アンカーとして機能していたと考えられています。

ホマロケファレのイラスト
ホマロケファレのイラスト

プレノケファレの幼体説から独立属への再評価

ホマロケファレの研究史において、長年議論の的となってきたのが、「この恐竜は独立した属なのか、それとも別の大型堅頭竜類の幼体(子供)なのか」という問題です。

ホマロケファレの全身骨格化石(2011年撮影)
ホマロケファレの全身骨格化石(2011年撮影)

2000年代後半以降の研究により、多くの堅頭竜類は成長過程で頭の形が劇的に変化し、子供の頃は平らな頭でも大人になるにつれてドームが盛り上がってくることが分かってきました。この成長モデルに基づき、2010年には「平たい頭のホマロケファレは、同時代・同地域に生息していたドーム型の頭部をもつ恐竜プレノケファレの子供時代の姿である」という仮説が提唱され、有力視されました。

しかし、2018年の研究によってこの仮説は否定されることになります。プレノケファレの幼体や若い個体の化石が新たに発見され、詳しく解析された結果、プレノケファレはかなり幼い段階からすでに丸みを帯びた高いドーム構造を形成していることが判明したのです。
平坦な頭蓋骨を持つホマロケファレを「プレノケファレの幼体」と見なすことは解剖学的に無理があることが立証され、現在ではホマロケファレは独立した有効な属として再び地位を確立しています。

平らな頭での頭突きと、白亜紀の湿潤な生態系

堅頭竜類の極端に分厚い頭蓋骨は「種内競争での頭突き行動」に使われたとする説が有名ですが、ドームを持たないホマロケファレのような平頭型の場合、正面からの頭突きには向いていないと考えられがちでした。
しかし、コンピュータを用いた有限要素解析によるシミュレーション実験が行われた結果、頭突き行動が可能である事実が判明しました。

有限要素解析(FEA):構造物を小さな要素に分割し、力が加わった際の変形や応力(ストレス)をコンピュータで計算する生体力学的な手法です。

解析の結果、平らな頭を持つホマロケファレであっても、衝突時に発生する巨大な衝撃力を効果的に分散させ、脳に致命的なダメージが到達するのを防ぐ構造を持っていたことがわかったのです。ホマロケファレは、厚いケラチン質のパッドに覆われた平らな頭部を互いに押し付け合い、力比べや側面への頭突きを行っていた可能性が高いと考えられています。

また、ホマロケファレの化石が産出したモンゴルの「ネメグト層」は、現在のような乾燥したゴビ砂漠とは異なり、当時は豊かな川や湖が広がる湿潤な環境(現在のアフリカ・オカバンゴ・デルタのような環境)でした。
巨大な肉食恐竜タルボサウルスなどが頂点に君臨する生態系の中で、優れた視力と敏捷な脚力を持つホマロケファレは、水辺や森林の周縁部で特定の植物を選択的に摘み取って食べる植物食恐竜として、繁栄していたと推測されています。

ホマロケファレの切手・化石ギャラリー