ガストニア

ガストニア

Gastonia

ガストニアとは

学名(属名) Gastonia
名前の意味 ガストン(人名)のとかげ
Gaston(ガストン)[人名]-ia[ラテン語接尾語]
分類 鳥盤目・装盾類 (曲竜下目・ノドサウルス科)
全長 約6m
食性 植物食
生息時期 白亜紀前期
下分類・種名 Gastonia burgei (模式種)
Gastonia lorriemcwhinneyae
論文記載年 1998
属名の記載論文 A polacanthine ankylosaur (Ornithischia: Dinosauria) from the Early Cretaceous (Barremian) of eastern Utah.
New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 14.
by James Kirkland. 1998.

特徴:歩く要塞

ガストニアの全身骨格化石
全身骨格化石(2017年撮影)

ガストニアは、白亜紀前期の北米に生息した、重装甲のノドサウルス科の恐竜です。全長約6m、体重は2トン近くあったと推定されています。その全身は、まるで鎧のように進化した骨質の皮膚(皮骨板)でびっしりと覆われていました。

特に際立つのは、肩から生えた巨大なスパイク(トゲ)と、腰の上部を覆う「仙骨楯(せんこつじゅん)」と呼ばれる一枚岩のような巨大な骨の盾です。この盾は、複数の皮骨板が癒合して形成されたもので、腰という弱点を完全に防御していました。

また、アンキロサウルスのような尾のハンマーは持っていませんでしたが、尾の両側面には平たく鋭い、ブレード状の骨板が並んでおり、これを左右に振ることで、捕食者の脚を切りつける強力な武器として使用したと考えられています。

ガストニアの化石は、同じ場所から多数の個体が見つかる「ボーンベッド」として産出することがあります。これは彼らが単独ではなく、群れで生活していたことを示す強力な証拠です。

発見と論文記載

ガストニアの記載論文抜粋(頭骨スケッチ)
ガストニアの頭骨スケッチ-記載論文抜粋(1998年)
出典:A polacanthine ankylosaur (Ornithischia: Dinosauria) from the Early Cretaceous (Barremian) of eastern Utah. New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 14. by James Kirkland. 1998.

1989年、アメリカ・ユタ州シーダーマウンテン層(Cedar Mountain Formation)でよろい竜の頭骨化石が発見されました。同時に、肉食恐竜ユタラプトルと発掘されています。
1998年、アメリカの古生物学者ジェームス・カークランド(James Kirkland)によって、新属新種ガストニア・ブルゲイ(Gastonia burgei)が記載されます。

"ガストニア"という属名は、発見者だったアメリカの古生物学者ロバート・ガストン(Robert Gaston)に敬意を表してつけられたとされています。

その後、2016年には同じシーダーマウンテン層のより新しい地層から、2番目の種となるガストニア・ロリーマクウィニーアエ (Gastonia lorriemcwhinneyae) が記載されました。これにより、ガストニア属が長期間にわたって繁栄していたことが示唆されています。

ガストニアの切手・化石ギャラリー