恐竜研究の歴史を切り拓いた鳥脚類・イグアノドンの標本と切手
このギャラリーでは、2011年に撮影されたイグアノドンの頭骨化石と、世界各国で発行されたイグアノドン切手を収録しています。白亜紀前期のヨーロッパなどに生息していたイグアノドンは、まだ「恐竜」という言葉すら存在しなかった1825年に、メガロサウルスに次いで世界で2番目に学名が付けられた記念碑的な恐竜です。1841年に「恐竜(Dinosauria)」というグループが提唱された際にも基準の一つに選ばれました。発見から約200年にわたり研究されてきた彼らの姿を、化石写真と切手から辿ることができます。
化石
掲載している頭骨化石の見どころと観察ポイント
2011年撮影の「頭骨化石」を観察する際は、植物を食べるために高度に進化した口元の構造に注目してみてください。まず顎の先端(吻部)を見ると、ここには歯がなく、生前は硬い角質の「くちばし」で覆われており、シダ植物などの枝葉を効率よく刈り取っていました。一方、口の奥へと視線を移すと、学名の由来である「イグアナの歯」によく似た、ギザギザの縁を持つ葉っぱ型の歯が何列もびっしりと並んでいます。イグアノドンは下顎を閉じた際に上顎の骨がわずかに外側へと広がる特殊な仕組みを持っており、上下の歯をすり合わせることで、繊維質の硬い植物をすり潰して消化することができました。また、馬のように細長く伸びた顔つきも大きな見どころです。
切手・イラスト
切手デザインから楽しむ「復元像」の変遷
「切手・イラスト」のコーナーでは、世界各国で発行された恐竜切手を掲載しています。イグアノドンは古生物学の歴史上、最も劇的に復元スタイルが変化した恐竜として知られており、切手の絵柄からもその変遷を読み解くことができます。19世紀の最初期には、鋭い親指のトゲが「鼻の上の角」と勘違いされ、サイのような四足歩行の怪物として描かれました。その後、1878年にベルギーの炭鉱で多数の完全骨格が発見されると、鼻の角が「親指のスパイク」であることが判明し、今度はカンガルーのように尻尾を地面に引きずって二本足で直立する姿が100年以上にわたって定着しました。そして1980年代以降の研究では、背骨を支える腱や蹄(ひづめ)のような前足の指の構造から、普段は尾を水平に保って四足で歩き、必要に応じて二足で立ち上がる現代の姿へと改められています。切手に描かれた「親指のスパイク」や立ち姿の違いをぜひ見比べてみてください。