バクトロサウルスとは
| 学名(属名) | Bactrosaurus |
| 名前の意味 |
棍棒のトカゲ
baktron(棍棒)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
| 分類 | 鳥盤目・鳥脚類 (鳥脚亜目・ハドロサウルス科) |
| 全長 | 約4-6m |
| 食性 | 植物食 |
| 生息時期 | 白亜紀後期 |
| 下分類・種名 | Bactrosaurus johnsoni |
| 論文記載年 | 1933 |
| 属名の記載論文 | Gilmore, C.W. (1933). On the dinosaurian fauna of the Iren Dabasu Formation. American Museum of Natural History. |
特徴、古病理学の分野でも注目される
バクトロサウルスは、白亜紀後期に中国とモンゴルに生息した鳥脚類です。
属名バクトロサウルスBactrosaurusは発見地の古い呼び方バクトリア地方に由来するものと思っていましたが、脊椎の一部分から大きな神経棘が突き出ていることから棍棒(baktron)に由来するそうです。外見上はイグアノドンに似ていますが、
バクトロサウルスはハドロサウルス上科の中でも最も原始的なメンバーの一つ
とされています。
頭に特徴的なトサカを持つランベオサウルス亜科や、持たないハドロサウルス亜科が分化する前の、共通祖先に近い存在、あるいはその姉妹群であったと考えられています。そのため、ハドロサウルス類の初期進化を解き明かす上で、鍵となる重要な恐竜です。
"卵から孵化したばかりとみられる幼体"から"推定全長6mに及ぶ成体"まで、様々な年齢(成長段階)にあたる化石が発見されています。バクトロサウルスがどのように成長していったのかを研究するためのための貴重な材料となっています。また、バクトロサウルス6個体分の部分化石が1か所から発見されたことから、群れを形成していた可能性も示唆されています。
また、いくつかのバクトロサウルスの化石には、骨に腫瘍(良性腫瘍や血管腫など)が見つかっています。これは、恐竜たちが骨折や感染症だけでなく、がんに代表されるような複雑な病気にも苦しんでいたことを示す貴重な証拠です。どのような病気が恐竜たちの間に広がっていたのかを知る上で、重要な研究対象となっています。
記載論文
出典:Gilmore, C.W. (1933). On the dinosaurian fauna of the Iren Dabasu Formation.
初めてバクトロサウルスが発見されたのは、中国ゴビ砂漠のIren Dabasu層からでした。1933年アメリカの古生物学者チャールズ・ギルモア(Charles W. Gilmore)が、新属新種として"Bactrosaurus johnsoni"を記載しました。
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