チンタオサウルス

チンタオサウルス

Tsintaosaurus

チンタオサウルスとは

学名(属名) Tsintaosaurus
名前の意味 青島(中国の地名)のトカゲ
Tsintao(青島)[地名]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語]
分類 鳥盤目・鳥脚類 (鳥脚亜目・ハドロサウルス科・ランベオサウルス亜科)
全長 約10m
食性 植物食
生息時期 白亜紀後期(約7000万年前)
下分類・種名 Tsintaosaurus spinorhinus
※種小名spinorhinusは「鼻にトゲを持つ」の意で、当初の誤解に由来。
論文記載年 1958
記載論文 The dinosaurian remains of Laiyang, Shantung.
Palaeontologia Sinica, New Series C. Whole Number. 42.
by Chung Chien Yang(杨钟健). 1958.

特徴:ユニコーンの角の正体

チンタオサウルスは、長年、その奇妙な頭の突起のために「ユニコーン恐竜」として知られてきました。しかし、2013年に発表された画期的な研究によって、その姿は全く異なるものだったことが明らかになりました。

なぜ間違えられたのか?

チンタオサウルスの頭骨化石
頭骨化石(2017年撮影)。この一本角のような骨が誤解の元でした。

最初に発見されたチンタオサウルスの頭骨は、化石になる過程で圧力を受けて破損していました。そのため、本来は鼻先から後頭部にかけて繋がっていたはずの骨の一部が折れ、まるでユニコーンの角のように、真上を向いてしまっていたのです。この復元に基づき、長年、奇妙な一本角の恐竜として描かれてきました。

本当の姿とトサカの役割

2013年、古生物学者アルバート・プリエト=マルケス博士らは、新たに見つかった頭骨や、既存の化石をCTスキャンで再調査しました。その結果、あの「一本角」は、実はパラサウロロフスに似た、より大きく複雑な、中が空洞のトサカの一部(後方部分)であったことを突き止めました。

この新しい復元に基づくと、チンタオサウルスのトサカは鼻腔と繋がっており、息を吹き込むことで大きな音を共鳴させ、仲間とのコミュニケーションに使われたと考えられます。また、そのユニークな形状は、仲間を見分けたり、異性にアピールしたりするディスプレイとしても重要な役割を果たしたことでしょう。

チンタオサウルスのトサカ新説
チンタオサウルスの頭-新説に基づく復元

東日本大震災で被災したチンタオサウルス

2011年3月11日 東北を中心に甚大な被害をもらたした東日本大震災。
福島第一原発から30km圏内にある福島県広尾町の町役場ロビーには、チンタオサウルスの全身骨格レプリカが展示されていました。

被災したチンタオサウルス(福島県広野町)
被災したチンタオサウルス(福島県広野町)

広野町には約8800万年前-白亜紀後期の地層が露出していることから、「化石」の産地としてのアピールのため1988年から役場ロビーに展示されていたのです。

破損したレプリカ復旧に必要な資金は約400万円だったそうです。2015年、クラウディングを使って資金を調達(私も10,000円だけ提供させていただきました)して、復旧作業が実行されます。

元気になった(?)チンタオサウルスは翌年開催された「恐竜博2016」(東京・大阪)を巡回した後、福島県広尾町に帰りました。

チンタオサウルス(イラスト)
チンタオサウルスのイラスト(2020年)
チンタオサウルスの全身骨格化石
復旧したチンタオサウルスの全身骨格化石(2016年撮影)
「恐竜博2016」で、復旧作業を終えたチンタオサウルスが巡回しました。

チンタオサウルスの切手・化石ギャラリー