オロロティタンとは
学名(属名) | Olorotitan |
名前の意味 | 巨大な白鳥 olor(白鳥)[ラテン語]-Titan(巨人)[ギリシャ語] |
分類 | 鳥盤目・鳥脚類 (ハドロサウルス科・ランベオサウルス亜科) |
全長 | 約8.1m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | 白亜紀後期 |
下分類・種名 | Olorotitan arharensis |
論文記載年 | 2003 |
記載論文 | A remarkable hollow-crested hadrosaur from Russia: an Asian origin for lambeosaurines. Comptes Rendus Palevol 2 (2): 143-151. by Godefroit, Pascal; Bolotsky, Yuri; Alifanov, Vladimir, 2003. |
特徴

オロロティタンの最大の特徴は、頭上の後方に向いた扇形のとさか(突起)です。 全長8m、体重3.4tに達する大型のハドロサウルス類で、他のハドロサウルス類の頸椎(首の骨)よりも3つ多い、18の頸椎をもっていました。首の長いオロロティタンの属名は「巨大なハクチョウ」の意味です。
とさかの中は広い空洞になっており、鼻腔とつながっていました。鳴き声を発するのに共鳴させる役目を負っていたようです。
オロロティタンが生きていたのは、白亜紀の最末期である約6600万年前。つまり、巨大隕石の衝突による大絶滅イベントの直前まで、アジアの地で繁栄していた、地球上で最後の世代のランベオサウルス亜科の一つだったのです。彼らは、恐竜時代最後の生存者たちでした。
系統解析を通じて、北米から見つかっているコリトサウルスやヒパクロサウルスと近縁とされています。

化石発見と論文記載

出典:A remarkable hollow-crested hadrosaur from Russia: an Asian origin for lambeosaurines.
Comptes Rendus Palevol 2 (2): 143-151.
by Godefroit, Pascal; Bolotsky, Yuri; Alifanov, Vladimir, 2003.
オロロティタンの化石は、1999年から2001年にかけて、ロシア極東アムール州のクンドゥルと呼ばれる場所で発見されました。この場所は、突発的な洪水や土石流によって、そこにいた生物たちが一瞬にして生き埋めになったと考えられる「ボーンベッド(化石が密集した層)」であり、「恐竜のポンペイ」とも呼ばれています。
この悲劇的な出来事のおかげで、オロロティタンの化石は、頭骨から尾の先までほぼ全ての骨が関節したままの、奇跡的に保存状態の良い全身骨格として発見されました。これは、北米以外で見つかったランベオサウルス亜科の化石としては、最も完全なものです。
2003年、この見事な標本に基づき、パスカル・ゴドフロア博士らによってオロロティタン・アルハレンシス (Olorotitan arharensis) は記載されました。
オロロティタンの発見が科学的に重要だったのは、北米大陸が起源と考えられていたランベオサウルス亜科の進化の歴史を大きく書き換えた点にあります。これほど進化した特徴を持つ種がアジアで発見されたことで、ランベオサウルス亜科は北米だけでなく、アジアでも独自に多様化し、進化を遂げたという強力な証拠となったのです。記載論文のタイトルにも「ランベオサウルス亜科のアジア起源」と記されています。
