コリトサウルス

コリトサウルス

Corythosaurus

コリトサウルスとは

学名(属名) Corythosaurus
名前の意味 コリントス風のヘルメット(兜)トカゲ
korys(コリントス人の兜)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語]
分類 鳥盤目・鳥脚類 (ハドロサウルス科・ランベオサウルス亜科)
全長 約7.7〜10m
食性 植物食
生息時期 白亜紀後期(カンパニアン期:約7700万年-7500万年前)
下分類・種名 Corythosaurus casuarius
Corythosaurus intermedius
論文記載年 1914
属名の記載論文 Corythosaurus casuarius, a New Crested Dinosaur from the Belly River Cretaceous, with Provisional Classification of the Family Trachodontidae.
American Museum of Natural History Bulletin. 33.
by Barnum Brown. 1914.

特徴

コリトサウルスの最大の特徴は、頭頂部にある半円形の大きなふくらみ(クレスト)です。
白亜紀後期(約7700万年〜7500万年前)の北アメリカ大陸に生息していた大型の植物食恐竜です。

コリトサウルスの切手

このクレストは幼いころには発達しておらず、成長するにしたがって大きく膨らみ、メスよりもオスの方がより巨大なクレストを持っていたと考えられています。
かつて、彼らは沼地などを泳ぐ半水生の動物だと考えられており、クレストはシュノーケルのような呼吸器官や空気をためるタンクだと言われていました。しかし現在では、彼らは完全に陸上で生活しており、この「水生仮説」は明確に否定されています。

最新のCTスキャンを用いた研究により、クレストの内部には鼻につながる複雑な空洞があることが判明しました。息を送り込むことで、トロンボーンなどの金管楽器と同じ原理で低音の鳴き声を大きく響かせていたようです。巨大なクレストは視覚的に仲間を区別したり、鳴き声でコミュニケーションをとったりと、群れの中で高度な社会性を保つために使われたと考えられています。

“恐竜ミイラ”が語る生前の姿と食性

コリトサウルスには「恐竜ミイラ」と呼ばれるほど保存状態の良い化石が見つかっています。この皮膚の化石から、体はヘビやトカゲのような重なり合ったウロコではなく、大小さまざまな多角形のイボのようなウロコがモザイク状に敷き詰められていたことがわかりました。

また、胃のあたりから彼らの「最後の食事」が化石となって見つかっており、針葉樹の松葉、小枝、種子などを食べていたことがはっきりと証明されています。口の奥には「デンタルバッテリー」と呼ばれる何百本もの細かい歯が幾重にも重なり合ったヤスリのような構造があり、これで硬い植物の繊維を効率よくすり潰していました。

目の内部にある骨の輪(強膜輪)の研究から、コリトサウルスは完全な昼行性ではなく、昼夜を問わず短い間隔で活動と休息を繰り返す「周日行性」であった可能性が高いとされています。体重数トンにもなる巨大な体を維持するためには、夜間も植物を食べ続ける必要があったようです。

新たな発見:生息域の広がりとアジアとの繋がり

長年、確実なコリトサウルスの化石はカナダのアルバータ州でしか見つかっておらず、北方の地域に偏って生息していたと考えられていました。しかし2022年、日本の岡山理科大学などの研究グループが、アメリカのモンタナ州で発掘された化石をコリトサウルスであると特定しました。これにより、彼らが広い地域で生息していたことが証明されました。

さらに、2025年には同じ化石のパッケージの中から、巨大なダチョウ恐竜として知られる「デイノケイルス類」の下顎の骨が発見されました。これまでデイノケイルス類は主にアジア特有の恐竜と考えられていました。

コリトサウルスの化石と一緒にこの化石が発見されたことは、白亜紀後期には北アメリカ大陸とアジア大陸が陸続き(ベーリング陸橋)になっており、植物食恐竜たちが広範囲にわたって大陸間を移動し、ダイナミックに交流していたことを示す大発見となりました。

発見と数奇なエピソード

コリトサウルス_標本番号AMNH 5240
コリトサウルスの頭骨化石(標本番号AMNH 5240)
出典:Corythosaurus casuarius, a New Crested Dinosaur from the Belly River Cretaceous, with Provisional Classification of the Family Trachodontidae.
American Museum of Natural History Bulletin. 33.
by Barnum Brown. 1914.

コリトサウルスが初めて見つかったのは、1911年のカナダ・アルバータ州でした。有名な化石ハンターであるバーナム・ブラウン(Barnum Brown)が発見したこの標本(AMNH 5240)は、ほぼ完全な骨格だけでなく、一部の皮膚の痕跡も残された非常に貴重なものでした。その後、1914年にブラウンによって新種として論文で記載されました。

コリトサウルスの発掘の歴史には、第一次世界大戦の影を落とす悲しい出来事もありました。1916年、皮膚の痕跡が完全に残る2体の見事な全身骨格が発掘され、イギリスの博物館へ送られることになりました。しかし、輸送していた貨物船「マウント・テンプル号」がドイツ軍の攻撃を受けて沈没し、これらの化石は現在も大西洋の海の底に眠っています。

一方で、奇跡的な再会を果たした化石もあります。長年博物館で保管されていたコリトサウルスの頭骨と、カナダの公園で野外展示物として放置されていた「首なしの胴体骨格」が、調査の結果、実は約100年前に発掘された同じ個体のものであったことがわかったのです。2012年に頭部と胴体は無事に結合され、大きな話題を呼びました。

コリトサウルスの切手・化石ギャラリー