コスモケラトプス

コスモケラトプス

Kosmoceratops

コスモケラトプスとは

学名(属名) Kosmoceratops
名前の意味 装飾された角のある顔
kosmos(飾る)[ギリシャ語]-kerat(角)[ギリシャ語]-ops(頭、顔)[ギリシャ語]
分類 鳥盤目・周飾頭類 (周飾頭亜目・角竜下目)
全長 約5m
食性 植物食
生息時期 白亜紀後期
下分類・種名 Kosmoceratops richardsoni
※種小名richardsoniは、発見者の一人スコット・リチャードソン氏への献名。
論文記載年 2010
属名の記載論文 New Horned Dinosaurs from Utah Provide Evidence for Intracontinental Dinosaur Endemism.
PLoS ONE. 5.
by Scott D. Sampson, Mark A. Loewen, Andrew A. Farke, Eric M. Roberts, Catherine A. Forster, Joshua A. Smith, Alan L. Titus. 2010.

特徴

コスモケラトプスの頭骨化石
頭骨化石(2014年撮影)

コスモケラトプスは、白亜紀後期-7600万年前の北米に生息した角竜です。アメリカ・ユタ州のグランド・ステアケースエスカランテ国定公園で発見され、2010年に命名されました。

コスモケラトプスの最大の特徴は、15本の角でしょう。鼻の上に1本、両目の上に1本ずつ、両ほほの横に2本、フリル後部に垂れ下がった10本の角を持っています。

目の上の角が外側や下を向いていることからも分かるように、これらの装飾は肉食恐竜から身を守るための武器ではなく、仲間とのコミュニケーションのためのディスプレイだったと考えられています。現代のシカの角やクジャクの羽のように、種を認識するための目印や、異性を惹きつけるための性的魅力のアピール、あるいはライバルを威嚇するために使われたのでしょう。

また、近縁のカスモサウルス類としてはフリルが短いのも特徴で、これは防御よりもディスプレイとしての機能を優先した結果かもしれません。

失われた大陸「ララミディア」の奇妙な住人

コスモケラトプスの奇妙な姿の謎は、彼が生きていた時代の北米大陸の地図をひも解くことで明らかになります。白亜紀後期、北米大陸は中央を浅い海(西部内陸海路)によって分断され、西側は「ララミディア大陸」と呼ばれる、南北に長い島大陸となっていました。

このララミディア大陸の北部(現在のカナダ・アルバータ州など)と南部(現在の米国・ユタ州など)では、同じ時代にもかかわらず、全く異なる種類の恐竜が生息していました。コスモケラトプスは、この隔離されたララミディア大陸の南部で独自に進化した、固有の角竜だったのです。

限られた地域の中で、仲間を認識したり、ライバルや異性に自分をアピールしたりする必要があったため、他の地域の角竜とは全く異なる、非常に派手で複雑な装飾を進化させたと研究者たちは考えています。コスモケラトプスの奇抜な姿は、まさに「失われた大陸」が生んだ芸術作品なのです。