グアンロンとは
| 学名(属名) | Guanlong |
| 名前の意味 |
冠の竜
Guan(冠)[中国語]-long(竜)[中国語] |
| 分類 | 竜盤目・獣脚類 ティラノサウルス上科 (プロケラトサウルス科) |
| 全長 | 約3〜3.5m |
| 体重 | 約125kg |
| 食性 | 肉食 |
| 生息時期 | ジュラ紀後期 (約1億6350万年前〜1億5730万年前) |
| 下分類・種名 | Guanlong wucaii (グアンロン・ウーツァイ) |
| 論文記載年 | 2006年 |
グアンロンの特徴
グアンロンの最大の特徴は、学名の由来にもなった、前上顎骨から鼻骨にかけて隆起する大きなトサカ(クレスト)です。このトサカは高さが5〜6cmありながらも、一番薄い部分は約1.5mmしかなく、内部は空洞になっていました。
そのため、このトサカは 獲物への攻撃や防御といった武器や防具にはならず、仲間を見分けたり、異性にアピールしたりするための「視覚的なディスプレイ(誇示)器官」だったと結論付けられています。
グアンロンは、ティラノサウルスへと続く系統の初期に属する小型の肉食恐竜で、白亜紀に巨大化するティラノサウルスとは異なる特徴を持っています。例えば、腕(前肢)は長く、物を掴むための3本の指を持っていました(後のティラノサウルスは腕が短く2本指です)。
その一方で、肉を削ぎ落とすのに適したD字型の歯を持つなど、ティラノサウルス類特有の新しい特徴もあわせ持っています。
かつてはティラノサウルス科の直系の祖先と考えられていましたが、現在では初期に枝分かれした親戚のグループに分類されています
生物が進化する過程で、体の一部には祖先の古い特徴が残り、別の部分には新しい進化した特徴が現れる現象のことです。グアンロンの場合、手には「古い特徴(3本指)」が残り、頭には「新しい特徴(ティラノサウルス類特有の歯)」が現れています。
ティラノサウルスへと続く系統(ティラノサウルス上科)の初期のグループです。巨大化した後のティラノサウルス類とは異なり、鼻の上にトサカを持つことなどが特徴です。
また、化石に直接の証拠はありませんが、近縁な恐竜に羽毛の痕跡が見つかっていることから、グアンロンも体をダウンジャケットのようなふわふわとした羽毛で覆われていたことが確実視されています。
優れた感覚と歯の仕組み
近年、高解像度のCTスキャンを用いた非破壊検査により、グアンロンの生態がより詳しく分かってきました。
特筆すべきは、歯の生え変わりの仕組みです。幼体の化石を調べたところ、あごの骨の中に「第2世代の予備の歯」が控えていることが確認されました。このような歯の生え変わりシステムは、ジュラ紀の段階ですでに確立されていたことが分かりました。
また、脳が収まっていた空間(脳函)の調査からは、低周波の音を聞き取る能力や、素早く動く獲物を目で追うための反射神経、鋭敏な嗅覚を備えていたことが示されています。グアンロンは、優れた感覚を駆使して獲物を追い詰める、洗練されたハンターだったのです。
「死の罠」が残した2体の化石
ここには、2体のグアンロンが埋まっていました。
グアンロンの化石は、中国・新疆ウイグル自治区のジュラ紀後期の地層から、2体が重なり合った状態で発見されました。調査した結果、下敷きになっていたのは6歳の幼体で、上に乗っていたのは12歳の成体であることが判明しました。
この場所は、当時巨大な竜脚類(大型の植物食恐竜)が歩いた足跡が泥沼化した「死の罠」であったことがわかっています。
泥に足を取られた小型恐竜がもがくほど深みにはまり、その死臭に引き寄せられた他の恐竜がさらに罠にはまるという連鎖が起きていました。グアンロンの成体も、罠にはまった植物食性の恐竜や幼体などの獲物を狙って近づき、自らも泥から抜け出せなくなってしまったと考えられています。
化石の骨の内部組織を調べる研究(骨組織学)から、グアンロンの成長スピードも明らかになりました。6歳の幼体はまだ成長の途中でトサカも小さかったのに対し、成体はすでに成長が止まっており、トサカも大きく発達していました。グアンロンは約7歳で大人になり、急速にトサカを成長させていたことが分かっています。
グアンロンの切手・化石ギャラリー