推定方法

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足跡の化石から、歩く速度を計算する方法が確立されています。
足跡の大きさから腰の高さ・脚の長さを算出して、これと歩幅を考慮して歩く速度を推測します。
この算出方法は現生の哺乳類や鳥類が基になっていますが、研究者によって大きく数値が異なっています。
2000年代になると、コンピューターを使ってより複雑な生体力学的な解析が行われるようになりました。 後脚の筋肉の太さや長さを仮定したモデルを作成し、シミュレーションによって最大速度を生み出すような最適な活動パターンを計算で求めています。
これから更に研究が進み、筋肉の動かし方や走る姿勢などが明らかになっていくと、より正確な速度が推定されていくでしょう。

恐竜の最高速度
オーストラリア・クイーンズランド大学のサルボーン博士が算出した恐竜の最高速度は、以下の通りです。
属名 | 分類 | 推定最高速度 |
---|---|---|
ガリミムス | 獣脚類(オルニトミムス科) | 43 - 58km/h |
デイノニクス | 獣脚類(ドロマエオサウルス科) | 29 - 42km/h |
トリケラトプス | 周飾頭類(角竜下目) | 26km/h |
ティラノサウルス | 獣脚類(ティラノサウルス科) | 23 - 27km/h |
ブラキオサウルス | 竜脚形類(ティタノサウルス上科) | 18km/h |
イグアノドン | 鳥脚類(イグアノドン上科) | 16km/h |
ステゴサウルス | 装盾類(剣竜下目) | 7km/h |
ティラノサウルスの歩行速度は人間とほぼ同じだった?

Tyson
2021年に発表されたオランダの研究チームによる論文では、ティラノサウルスの平常時の歩行速度は時速約4.6km~4.8kmであったと推定されています。これは、一般的な人間の歩行速度とほぼ同じか、少し遅いくらいのスピードです。
従来の研究では、もっと速く歩いていたと考えられていましたが、この研究ではティラノサウルスの長い尻尾が歩行時に果たす役割に着目。尻尾が上下に揺れることで生まれる推進力をコンピューターモデルで再現し、化石に残された足跡の歩幅と組み合わせることで、よりエネルギー効率の良い、自然な歩行速度を割り出しました。
ただし、これはあくまで平常時の「歩く」速度です。獲物を追う際などにどれくらいの速さで「走れた」のかについては、時速19km〜27km程度だったのではないかと考えられており、現在も研究が続けられています。