ガリミムスとは
学名(属名) | Gallimimus |
名前の意味 | ニワトリモドキ gallus(ニワトリ)[ラテン語]-mīmos(もどき、模倣)[ギリシャ語] |
分類 | 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・テタヌラ類) |
全長 | 約4 - 6m |
食性 | 雑食 |
生息時期 | 白亜紀後期 |
下分類・種名 | Gallimimus bullatus Gallimimus mongoliensis |
論文記載年 | 1972 |
属名の記載論文 | A New Dinosaur, Gallimimus bullatus N. GEN., N. SP. (Ornithomimidae) From the Upper Cretaceous of Mongolia. Palaeontologia Polonica. 27. by Osmolska, H.; Roniewicz, E.; Barsbold, R. 1972. |
特徴

ガリミムスは、最も速い恐竜の一種だと推定されています。
軽い身体(推定400kg)に力強く発達した後脚をもち、このグループを「ダチョウ恐竜」と呼ぶこともあります。
祖先種と比べると、足の骨構造に変化があったようです。足の甲をつくる3本の骨の太さがそれぞれ違うのです。この構造は足に柔軟性をもたらし、走った際の衝撃を和らげる機能を果たしました。さらに、体の割合に対する脛骨の長さなど 速い動物の特徴を備えており、時速45-60kmほどで走ることができたと考えられています。長い尾は、バランスをとるのに使われていました。
脚を活かした逃亡が、外敵からの最も有力な防衛手段だったようです。

1988年、ガリミムスの眼球はあまり動かなかったことを示唆する研究結果が発表されました。
現生の植物食動物と同様 側面についた眼は視野を広げましたが、首を動かさないと周りを見渡すことはできませんでした。まるでダチョウや鳩のように、頭をくるくると回しながら捕食者からの攻撃を警戒していたのかも知れません。
頭骨の化石から脳が大きかったことも分かっており、ガリミムスは比較的知能の高い恐竜であったと思われています。
また、様々な成長段階の個体がまとまって発見されていることから、ガリミムスは年齢の異なるメンバーで構成される群れを作り、集団で生活していた可能性が高いと考えられています。

食性:謎に満ちた食生活
獣脚類でありながら歯を持たないガリミムスの食性は、長きにわたる議論の的となっています。

2001年には、くちばしの内側にフラミンゴのような櫛状のフィルター構造(ラメラ)があったとする研究が発表され、水中の小さな甲殻類、魚、植物、昆虫や藻類を濾しとって食べる「濾過食説」が大きな注目を集めました。
しかし、その後の研究では、この構造は硬い植物を刈り取るためのものであるとする「植物食説」も有力視されています。胃石(ガストロリス)が見つかっていることも、植物をすり潰していた可能性を支持します。
現在では、特定の食べ物に特化していたというよりは、植物を中心に、昆虫や小動物なども食べる機会があれば口にする「雑食性」であったと考える研究者が多くなっています。
羽毛と「翼」の発見
長い間、ガリミムスは映画「ジュラシック・パーク」に登場するような、ウロコに覆われた姿で描かれてきました。しかし、近年の研究でそのイメージは一変します。
ガリミムス自体の化石から羽毛の痕跡は見つかっていませんが、ごく近縁のオルニトミムスから、羽毛の痕跡が発見されたのです。特に驚くべきことに、大人のオルニトミムスの前あしには、羽軸のある本格的な羽毛で構成された「翼」があったことが分かりました。この翼は飛ぶためのものではなく、求愛のディスプレイや、卵を温める際に使われたと考えられています。
この発見により、ガリミムスも成長すると、ダチョウのように体を羽毛で覆われ、前あしに翼を持っていたと考えるのが、現在の科学的な標準となっています。イラストも、今後は羽毛を生やした姿で描かれることが多くなるでしょう。
発見と論文記載
1963年-1965年、ポーランドとモンゴルの科学アカデミーは、共同でゴビ砂漠で発掘調査を行いました。

出典:A New Dinosaur, Gallimimus bullatus N. GEN., N. SP. (Ornithomimidae) From the Upper Cretaceous of Mongolia. Palaeontologia Polonica. 27. by Osmolska, H.; Roniewicz, E.; Barsbold, R. 1972.
1972年、モンゴルの古生物学者リンチェン・バーズボールド(Rinchen Barsbold)らはそのときに発掘された標本(標本IGM 100/11)に基づき、新属新種としてガリミムス(Gallimimus bullatus)を記載します。標本番号 IGM 100/11は、歪んだ鼻、不完全な下顎、脊椎シリーズ、骨盤などのほぼ完全な骨格で構成されています。
ガリミムスの切手・化石ギャラリー



