プレシオサウルス(首長竜)とは
学名(属名) | Plesiosaurus |
名前の意味 | 爬虫類に似た |
分類 | 首長竜目・プレシオサウルス亜目・プレシオサウルス科 |
全長 | 約3.5 - 5m |
食性 | 肉食(魚食) |
生息時期 | ジュラ紀前期(約1億9960万年前-約1億7560万年前) |
下分類・種名 | Plesiosaurus dolichodeirus (模式種) |
論文記載年 | 1821 |
特徴

プレシオサウルスは、ジュラ紀前期(約1億9960万年前-約1億7560万年前)に生息した首長竜です。イングランド南部のドーセット海岸やドイツのホルツマーデンなどからほぼ完全な骨格化石が見つかっています。頸椎(首の骨)は38~42個保存されており、21の背骨、28の尾椎骨が並んでいました。
かつて、プレシオサウルスは白鳥のようにしなやかな首を持ち上げ、ボートのようにヒレを前後に漕いで泳ぐと考えられていました。しかし、近年の生体力学(バイオメカニクス)研究はそのイメージを完全に覆しました。
- 首は硬かった:長く多くの骨(頸椎)で構成された首は、実は水平方向にしかほとんど動かせず、左右にもあまり曲がらない、比較的硬く、柔軟性の低い構造でした。白鳥のようなポーズは不可能だったのです。
- 泳ぎ方は「水中飛行」:4つの大きなヒレは、前後に漕ぐのではなく、ペンギンやウミガメのように、上下に羽ばたかせることで力強い推進力を得る「水中飛行」で泳いでいたことが、コンピューターシミュレーションなどで示されています。
プレシオサウルスは、主に魚を捕食していたようです。当時の海には獰猛な魚竜(たとえば、ステノプテリギウス)が食物連鎖の頂点にいましたが、魚竜の主食はアンモナイトやペレムナイトなどの頭足類だったとみられており、魚を食べるプレシオサウルスとは棲み分けが出来ていたのかも知れません。成体の腹部に幼体の化石が重なって発見されたことから、卵胎生だったことが示唆されています。

ハウフ博物館(Urwelt - Museum Hauff,Germany.)
多すぎる種の問題から、整理
プレシオサウルスは、最初に発見された首長竜の一つであったため、その後150年以上にわたり、世界中から発見される首長竜化石の多くが、安易に「プレシオサウルス属」として分類されてきました。いわゆる「ゴミ箱分類群(wastebasket taxon)」となっていたのです。
しかし、近年の詳細な再研究により、これらの種のほとんどは、実際には全く別の属の首長竜であることが判明しました。例えば、かつて Plesiosaurus guilelmiimperatorisとされていた種は、現在ではシーリーオサウルス(Seeleyosaurus)という独立した属に分類されています。
その結果、科学的に有効とされている「真のプレシオサウルス」は、最初に記載されたイギリスのライム・リージス産出の、プレシオサウルス・ドリコデイルス (Plesiosaurus dolichodeirus) ただ1種のみとなっています。
「ドラえもん」、「遠い海から来たCoo」

プレシオサウルスは日本人にとって馴染み深い首長竜です。アニメ「ドラえもん」に登場するピー助や映画「遠い海から来たCoo」などに、プレシオサウルスの幼体が登場しています。
未確認動物UMAのひとつであるネッシーはイギリス-ネス湖に閉じ込められたプレシオサウルスの末裔と仮定されていました。ただしネス湖が形成されたのは地質的には新しく、首長竜が生息した中生代にはネス湖自体が存在していなかったことがわかっています。
プレシオサウルスの切手・化石ギャラリー




