アーケロンとは
学名(属名) | Archelon |
名前の意味 | 古代の亀 |
分類 | カメ目・潜頸亜目・ウミガメ上科・プロトステガ科 |
全長 | 約4m |
食性 | 雑食 |
生息時期 | 白亜紀後期(約7500万年前) |
下分類・種名 | Archelon ischyros |
論文記載年 | 1896 |
属名の記載論文 | Archelon ischyros: a new gigantic cryptodire testudinate from the Fort Pierre Cretaceous of South Dakota. American Journal of Science, 4th Series 2(12) Wieland, G. R. 1896. |
特徴:史上最大のウミガメ
アーケロンは、白亜紀後期の北米に生息した、史上最大のウミガメです。全長は4メートルを超え、体重は2トンに達したと推定されています。
軽量化された「革のような甲羅」

アーケロンがこれほど巨大化できた秘密は、そのユニークな甲羅にあります。現代のウミガメのような重く頑丈な一枚板の甲羅ではなく、骨格となるフレームの上に、硬い革のような皮膚が張られていたと考えられています。これは、現生のオサガメの甲羅と似た構造です。
この軽量化された甲羅のおかげで、アーケロンは巨体にもかかわらず水中を効率的に泳ぎ回ることができました。ただし、その分、防御力は低く、モササウルス類のような強力な捕食者にとっては格好の獲物だったのかもしれません。
強力なクチバシと食生活
アーケロンは歯を持っていませんでしたが、代わりにオウムのようなくちばしを持っていました。その先端はフックのように鋭く、顎の力は非常に強力だったため、硬い殻を持つアンモナイトや、大型の甲殻類なども噛み砕いて食べることができたと考えられています。その他、イカやクラゲ、海藻なども食べる雑食性だったようです。
北米のみで発見されるアーケロン

アーケロンの化石は、北米のサウスダコダ州やコロラド州といった、かつて浅く温暖な海が広がっていた場所で発見されます。
この海は、白亜紀の北米大陸を南北に分断していた巨大な内海で、アーケロンの他にも、モササウルス類や首長竜、巨大な魚など、多種多様な海棲生物が生息する、豊かでありながらも危険な世界でした。アーケロンが外洋ではなく、この内海を中心とした沿岸域で生活していたことが、化石の産出状況から示唆されています。
アーケロンの記載論文

出典:Archelon ischyros: a new gigantic cryptodire testudinate from the Fort Pierre Cretaceous of South Dakota. American Journal of Science, 4th Series 2(12) Wieland, G. R. 1896.
アーケロンの化石が初めて見つかったのは、1895年のことです。
アメリカ・サウスダコダ州Pierre Shale(白亜紀 約8050万年前の地層)から発掘された標本(標本番号:YPM3000)でした。
翌年1896年 アメリカの古生物学者ジョージ・リーバー・ウィーランドGeorge Reber Wielandは、論文"Archelon ischyros: a new gigantic cryptodire testudinate from the Fort Pierre Cretaceous of South Dakota."の中で大きなカメ-Archelonを記載しました。