ユタラプトル

ユタラプトル

Utahraptor

ユタラプトルとは

学名(属名) Utahraptor
名前の意味 ユタ州(地名)の泥棒
Utah(ユタ州)[地名]-raptor(泥棒)[ラテン語]
分類 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・ドロマエオサウルス科)
全長 約6 - 7m
食性 肉食
生息時期 白亜紀前期(約1億3900万年-1億3500万年前)
下分類・種名 Utahraptor ostrommaysi
論文記載年 1993
記載論文 A large dromaeosaur [Theropoda] from the Lower Cretaceous of Utah.
Hunteria. 2.
by Kirkland, J.I.; Burge, D.; Gaston, R. 1993.

ユタラプトル: 特徴と最新の姿

ユタラプトルの全身骨格化石
全身骨格化石(2004年撮影)

ユタラプトルは、白亜紀前期(約1億3900万年〜1億3500万年前)の北アメリカに生息した、ドロマエオサウルス科のなかで最大級の肉食恐竜です。以前は約1億2500万年前と考えられていましたが、近年の地質年代測定により、1000万年以上も古い時代に生息していたことが判明しました。

ユタラプトルは、近縁の小型恐竜のような華奢で俊敏なハンターとは異なっていました。骨格はがっしりとしており、特に後あしは短く頑丈でした。全長は約6〜7m、体重は推定で最大777kgにも達し、現生のホッキョクグマに匹敵するほどの巨体と圧倒的な筋力を持っていたと考えられています。

また、ドロマエオサウルス科の仲間から数多くの羽毛の化石が見つかっていることなどから、ユタラプトルも全身が羽毛で覆われていた可能性が高いと考えられています。

恐るべき狩猟戦術

ユタラプトルの切手

ユタラプトルの後あしの第2指には、骨の芯だけでも約24cmにもなる巨大な鎌状の鉤爪(かぎづめ)が発達していました。長年、この巨大な爪は獲物の肉を「切り裂く」ための武器だと考えられてきました。
しかし、近年この仮説は否定されています。

最新の生体力学の研究により、爪の内側には鋭利な刃がなく、切り裂くことには不向きであることがわかりました。現在では、現生のタカやワシのように、爪を獲物に深く突き刺して「押さえつける(拘束する)」ために使われていたと考えられています。

RPR(猛禽類式獲物拘束)モデル
猛禽類が狩りをする際のように、鋭い爪で獲物に飛び乗ってしがみつき、自らの体重と握力で獲物を地面に押さえつけて拘束する狩猟方法の仮説です。

さらに、前あしの爪はこれまで後あしの爪と混同されて復元されていましたが、極端に湾曲した「肉鉤(にくかぎ)」のような形をしていたことが判明しています。ユタラプトルは、自分と同じかそれ以上に大きな植物食恐竜に飛び乗り、後あしの爪でしがみつきながら前あしの鋭い爪で獲物を抱え込み、強力な顎で致命傷を与えていたようです。

WAIR(翼アシスト傾斜走行)
鳥類が急斜面を登る際に、翼を羽ばたかせることで空力的な下向きの力(トラクション)を生み出し、足のグリップ力を増強する行動のことです。ユタラプトルも、獲物に飛び乗って暴れられた際、羽毛が生えた巨大な前あし(翼)を激しく羽ばたかせることでバランスを保ち、振り落とされないようにしていたと考えられています。

恐竜の流砂地獄:9トンの化石ブロック

ユタラプトルの切手

ユタラプトルが群れで狩りをしていた可能性は、ユタ州で発見された重さ9トンにも及ぶ巨大な化石の塊によって裏付けられました。
かつて流砂(泥の罠)だったと考えられるこの岩塊の内部には、 1頭の成体、10頭の若者(亜成体)、そして3頭の幼体など、さまざまな年齢のユタラプトルが数十頭とその獲物イグアノドン類の植物食恐竜(ヒッポドラコなど)が封じ込められていました。

研究者たちは、「まず、植物食恐竜が泥沼にはまって動けなくなり、それを見つけたユタラプトルの群れが襲いかかったものの、彼ら自身も次々と泥に足を取られ、生き埋めになってしまった」というシナリオを描いています。この発見により、ユタラプトルが群れで行動し、自分たちより大きな獲物を協力して狩る、社会性を持っていたことが示唆されました。

発見と論文記載

ユタラプトルの全身骨格化石
全身骨格化石(2017年撮影)

1975年、アメリカ・ユタ州東部のダルトン・ウェルズ採石場で初めての化石が発見されましたが、当時は注目されませんでした。その後、1991年にユタ州のガストン採石場で特徴的な大きな足のカギ爪が見つかったことで一躍注目を集め、1993年に古生物学者ジェームズ・カークランドたちによって新属新種として記載されました。

種の記載については有名な逸話が残っています。当時、研究資金を援助する見返りに種名を決める権利が売り出され、映画『ジュラシック・パーク』で有名な映画監督スティーブン・スピルバーグから「模式種名を"ユタラプトル・スピルベルギ"とする」という提案が出されていました。しかし、援助額が同意に至らず、監督の名前は採用されませんでした。
最終的に、鳥類と獣脚類の系統的関連性を提唱した古生物学者ジョン・オストロムと、映画ロボット製作会社創業者のクリス・メイズに由来する種名ostrommaysiが採用されました。

学名の綴りについての論争
命名後、2人の人物名に由来することから、ラテン語の文法規則に則って「ostrommaysorum」へ修正する提案があり、長くそのように表記されてきました。しかし近年、国際動物命名規約の厳格な適用により、原記載の「ostrommaysi」に誤りはないとして、元の名前が再び有効名として使用されるようになっています。

ユタラプトルの切手・化石ギャラリー