ドロマエオサウルス

ドロマエオサウルス

Dromaeosaurus

ドロマエオサウルスとは

学名(属名) Dromaeosaurus
名前の意味 走るトカゲ
dromaios(走るのが速い)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語]
分類 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・テタヌラ類)
全長 約2m
食性 肉食
生息時期 白亜紀後期(約7650万年-7480万年前)
下分類・種名 Dromaeosaurus albertensis
Dromaeosaurus explanatus(無効名)
Dromaeosaurus falculus(無効名)
Dromaeosaurus aevifrons(無効名)
Dromaeosaurus gracilis(無効名)
論文記載年 1922
属名の記載論文 The family Deinodontidae, with notice of a new genus from the Cretaceous of Alberta.
Bulletin of the American Museum of Natural History. 46
by Matthew, William D.; Brown, Barnum. 1922.

特徴

ドロマエオサウルスは、白亜紀を代表する恐竜の一種です。

ドロマエオサウルスの全身骨格化石
全身骨格化石(2015年撮影)

最初に化石が発見されたのは、1914年アメリカ自然史博物館が行ったレッドディア川の発掘調査中でした。化石が発見された地域は、現在カナダ・アルバータ州の州立恐竜公園の一部となっています。

ドロマエオサウルスは、ヴェロキラプトルやデイノニクスなどを含む「ドロマエオサウルス科」を代表する恐竜です。このグループは鳥類と非常に近縁で、多くの種で羽毛の存在が確認されていることから、ドロマエオサウルスも全身が羽毛で覆われていたと強く推測されています。

推定体重は約15kg。頑丈な頭骨には大きな眼窩があり、優れた視覚を持っていたと考えられています。また、脳の嗅覚を司る部分が発達していたことから、鋭い嗅覚を頼りに獲物を探し出す、優秀なハンターだったようです。

デイノニクス同様に、後足の第2指にはシックルクロー(鎌のようなカギ爪)がありますが、ドロマエオサウルスの狩りでは別の器官が主役だったかもしれません。

ドロマエオサウルスの切手

ドロマエオサウルスの最大の特徴は、その頑丈な頭骨と強力な顎です。歯は近縁種のものより厚く、摩耗している化石が多く見つかります。2005年の研究では、その噛む力はヴェロキラプトルの3倍にも達したと推定されました。

多くのドロマエオサウルス科の仲間が、カギ爪で獲物を押さえつけ、細い歯で肉を「引き裂く」ように食べていたのに対し、ドロマエオサウルスは強力な顎で獲物に噛みつき、骨ごと砕くことも可能な「噛み砕く」狩りをしていたと考えられています。これは、ハイエナのように腐肉食(スカベンジング)にも適していた可能性を示唆しています。

唯一有効な種、アルバータの走るトカゲ

かつてドロマエオサウルス属には複数の種が提唱されていましたが、その後の研究により、その多くは化石が断片的すぎるため有効性が疑わしい「疑問名 (nomen dubium)」とされたり、別の属の恐竜として再分類されたりしました。

ドロマエオサウルスの全身骨格化石
全身骨格化石(2015年撮影)

2024年現在、ほとんどの研究者によって有効と認められているのは、1922年に記載された模式種である ドロマエオサウルス・アルバーテンシス ( Dromaeosaurus albertensis ) のみです。種小名の「albertensis」は、最初の化石が発見されたカナダのアルバータ州に由来します。

このため、情報ソースによっては複数の種名がリストされていることがありますが、現在、科学的に確実な「ドロマエオサウルス」はこの1種と考えてよいでしょう。

参考:無効名となったドロマエオサウルスの種(下位分類)

ドロマエオサウルス(Dromaeosaurus)は属名です。有効名のDromaeosaurus albertensisの他に、かつて無効名となった6種が記載されていました。

種名 - 二名法 無効とされた年 現在の分類 / 理由
Dromaeosaurus laevifrons 1995年 疑問名 ( Nomen dubium )。化石が断片的すぎるため。
Dromaeosaurus cristatus 1995年 疑問名 ( Nomen dubium )。化石が断片的すぎるため。
Dromaeosaurus gracilis 1995年 疑問名 ( Nomen dubium )。化石が断片的すぎるため。
Dromaeosaurus explanatus 1987年 歯の化石のみ。 Saurornitholestes 属に再分類。
Dromaeosaurus minutus 1995年 疑問名 ( Nomen dubium )。化石が断片的すぎるため。
Dromaeosaurus falculus 1995年 疑問名 ( Nomen dubium )。化石が断片的すぎるため。

ドロマエオサウルスの切手・化石ギャラリー