プロトケラトプスとは
学名(属名) | Protoceratops |
名前の意味 | 最初の角のある顔 protos(最初の)[ギリシャ語]-kerat(角)[ギリシャ語]-ops(顔)[ギリシャ語] |
分類 | 鳥盤目・周飾頭類(周飾頭亜目・角竜下目) |
全長 | 約2m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | 白亜紀後期 |
下分類・種名 | Protoceratops andrewsi (模式種) Protoceratops hellenikorhinus |
論文記載年 | 1923 |
特徴
プロトケラトプスは、モンゴル周辺に生息した角竜です。フリルは発達し、角竜独特の硬いクチバシを持っていますが、角はありません。
かつては初期の角竜-多くの角竜の祖先と考えられていましたが、現在では原始的な形態を保ったまま定着した属であると考えられています。

尻尾の形状から泳ぎに適していると考える学者もいますが、決定的な証拠が見つかっているわけではありません。
赤ちゃん・子供からさまざまな成長段階の化石が数多く見つかっているため、プロトケラトプスは角竜の成長を研究する上で重要な役割を果たしています。
また、大人になると、オスとメスでフリルの形に違い(性的二形)が現れたと考えられています。オスはより背が高く幅広いフリルを、メスはより低く狭いフリルを持っていたようです。これは、主に異性へのアピールや、ライバルとの順位争いのためのディスプレイとして使われたのでしょう。

奥から手前に頭骨は成長していきます。


ヴェロキラプトルとの格闘化石

1971年、中国とモンゴルにあるゴビ砂漠で面白い化石が発見されました。
約8300万年前のプロトケラトプスと獰猛な肉食恐竜ヴェロキラプトルの格闘を記録した化石です。
ヴェロキラトプルの左手がプロトケラトプスのフリルにかけられ、左足はお腹に蹴りをいれています。プロトケラトプスも反撃に、ヴェロキラトプルに右腕をがっちりと噛んだ状態でした。
当時の緊迫したシーンを閉じ込めた珍しい化石であるため、図鑑のイラストやフィギュア(造形物)にされることも多い標本となっています。
プロトケラトプスの子育て
プロトケラトプスが子育てをしていたことを示す、非常に感動的な証拠が発見されています。2011年に報告された、直径約70cmの巣の化石の中には、孵化して間もない、少なくとも15体の赤ちゃんの化石が一緒に埋まっていました。

15体の1歳とみられる幼体が含まれています。
これほど多くの子供たちが同じ巣の中にいたということは、彼らが孵化した後も、親の保護のもとでしばらくの間、巣の中で過ごしていたことを示唆しています。これは、角竜類における「巣内での育児行動」の最も初期の直接的な証拠の一つです。
この化石の注目すべき点は、「この巣には、推定生後1年ほどになる15体の赤ちゃん化石が含まれていた」ことです。 えり飾りのフリルは、それほど発達してません。プロトケラトプスが生後1年頃までは同じ集団で育てられていたことを示唆しています。


伝説の生物「グリフィン」の起源?
プロトケラトプスには、非常にロマンのある説が提唱されています。それは、彼らの化石が、古代ギリシャ神話に登場する伝説の生物「グリフィン」のモデルになったのではないか、というものです。

グリフィンは「鷲の頭と翼、ライオンの体を持つ」とされています。歴史学者エイドリアン・メイヤー氏によると、ゴビ砂漠で金を探していた古代スキタイの人々がプロトケラトプスの化石を発見し、その姿を口伝でギリシャに伝えたのではないか、というのです。
- プロトケラトプスの強力なくちばしは「鷲のくちばし」に
- 肩甲骨は「翼の付け根」に
- 四つ足の体は「ライオンの胴体」に
- 風化したフリルは「大きな耳」に
…というように、化石の特徴がグリフィンの姿に見立てられた、というのです。真偽のほどは定かではありませんが、太古の化石が古代の人々の想像力を掻き立てた可能性を考えると、非常に面白い仮説です。
プロトケラトプスの切手・化石ギャラリー





