ルーフェンゴサウルスとは
学名(属名) | Lufengosaurus |
名前の意味 | 禄豊(中国の地名)のトカゲ Lufeng(禄豊)[地名]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 竜盤目・竜脚形類 (竜脚形亜目・原竜脚下目) 竜盤目・竜脚形類 (マッソポーダ類) |
全長 | 約6m |
食性 | 植物食の可能性が高い |
生息時期 | ジュラ紀前期(約1億9000万年前) |
下分類・種名 | Lufengosaurus huenei |
論文記載年 | 1941 |
属名の記載論文 | A complete osteology of Lufengosaurus huenei Young (gen. et sp. nov.) from Lufeng, Yunnan, China. Palaeontologia Sinica, New Series C 7. by 杨钟健(CC(Chung Chien) Young). 1941. |
特徴
ルーフェンゴサウルスは、中国で数多く発見されている竜脚形類です。
現在までに20体ほどの化石が発掘されています。

ルーフェンゴサウルスの全長は4.5〜6m、体重1700kgと推定されています。古竜脚類のなかでは大きな部類に入ります。 首は長めで4足で歩行したり、2足歩行したりしていました。ジュラ紀前期(約1億9000万年前)に生息していました。
食性(肉食、植物食、雑食)については議論されていますが、お腹付近から胃石が見つかっていることから、植物食である可能性がもっとも高いでしょう。
2本足で立ち上がり、長い尾でバランスをとり、高いところにある葉を食べましたと考えられています。
多数の骨格化石が同じ場所から見つかることもあり、集団で生活していた可能性もあります。
かつてヨーロッパで多く産出しているプラテオサウルスと近縁と推定されていましたが、2012年以降ジュラ紀前期に生息したマッソスポンディルスにより近いと考えられるようになりました。
また、ルーフェンゴサウルスの前あし(手)の親指には、大きく湾曲した鋭いカギ爪がありました。これは、植物を口元に引き寄せたり、地面を掘って根などを探したりするのに使われたほか、肉食恐竜に対する防御のための武器としても役立ったと考えられています。

孵化前の赤ちゃん:太古のタイムカプセル
2013年、ルーフェンゴサウルスの研究史、ひいては恐竜学全体を揺るがす大発見が報告されました。中国雲南省で、世界最古となる孵化前の恐竜の胚(赤ちゃん)の化石が、巣の跡とみられる場所から多数発見されたのです。
卵の中での活発な動きと、驚異的な成長速度

詳しく調べた結果、卵の中にいるにもかかわらず、大腿骨には筋肉が活発に動いた痕跡が残っていました。これは、ルーフェンゴサウルスの赤ちゃんが、鳥のように卵の中で体を動かし、孵化に備えて筋肉を鍛えていたことを示唆しています。さらに、骨の組織からは、彼らが孵化後、現代の鳥類や哺乳類に匹敵する、あるいはそれ以上の驚異的なスピードで成長したことも明らかになりました。
1億9000万年前の有機物の発見
そして最も驚くべき発見は、胚の大腿骨の中から、タンパク質(コラーゲン)の断片と思われる有機物が発見されたことです。1億9000万年という、これまで考えられていたよりもはるかに長い時間を経て、生体分子が保存されていた可能性を示したこの発見は、今後の恐竜研究に新たな可能性を切り開くものとして、世界中の科学者を驚かせました。
発見と論文記載

1930年代後半、地質学者Bien Meinianは中国雲南省Lufeng近郊のShawanで化石を見つけました。 1938年から古生物学者だった杨钟健(Chung Chien Young)が発掘作業に加わり、1941年新属新種としてルーフェンゴサウルス(Lufengosaurus huenei)を記載することになります。 種名の"huenei"は、杨钟健(Chung Chien Young)の指導教員だったドイツの古生物学者フリードリッヒ・フォン・フェネ(Friedrich von Huene)に敬意を表してつけた名前です。
1958年、中国で初めて完全な恐竜復元骨格を完成させた標本が、ルーフェンゴサウルスでした(同年、記念切手も発行されました)。
1940年に杨钟健(Chung Chien Young)が記載した別の種Gyposaurus sinensisは、 1976年アメリカの古生物学者ピーター・ガルトン(Peter Galton)によってルーフェンゴサウルスの幼体として分類し直しています(この種は、さらに別属に再分類される可能性も示唆されています)。
ルーフェンゴサウルスの切手・化石ギャラリー


