ルーフェンゴサウルス

ルーフェンゴサウルス

Lufengosaurus

ルーフェンゴサウルスとは

学名(属名) Lufengosaurus
名前の意味 禄豊(中国の地名)のトカゲ
Lufeng(禄豊)[地名]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語]
分類 竜盤目・基盤的竜脚形類 (マッソスポンディルス科)
※かつては「古竜脚類」に分類されていました。
全長 約6m (最大で9mに達する個体も発見されています)
食性 植物食
生息時期 ジュラ紀初期(約1億9500万年前〜1億9000万年前)
下分類・種名 Lufengosaurus huenei
論文記載年 1941
属名の記載論文 A complete osteology of Lufengosaurus huenei Young (gen. et sp. nov.) from Lufeng, Yunnan, China.
Palaeontologia Sinica, New Series C 7.
by 杨钟健(CC(Chung Chien) Young). 1941.
基盤的竜脚形類(きばんてき りゅうきゃくけいるい)
後の時代に現れる巨大な雷竜(竜脚類)の祖先や、それに近い初期のグループのことです。かつては「古竜脚類」とひとまとめに呼ばれていましたが、現在では分類が見直されています。

ルーフェンゴサウルス : 特徴と生態

ルーフェンゴサウルスは、中国雲南省の「禄豊層(ろくほうそう)」という地層から数多くの化石が発見されている恐竜です。

ルーフェンゴサウルスの全身骨格化石
全身骨格化石(2006年撮影)

全長は約6mで、長い首、比較的小さな頭、植物を発酵させるための樽のような胴体を持っていました。普段は二足歩行で移動し、高い木の葉を食べるときなどは後肢(うしろあし)と巨大な尾でバランスをとりながら体を支えていたと考えられています。長距離の移動時などは四足歩行になることもありました。
また、前あしの親指には大きく鋭いカギ爪があり、身を守ったり、高木の枝を引き寄せたりするのに使われました。

頭骨の研究から、口元には発達した「頬(ほお)」があった可能性が高いことがわかっています。頬があることで、口に含んだ植物がこぼれ落ちるのを防ぎ、効率よく食べることができました。ルーフェンゴサウルスの歯は平たくてふちにギザギザがあり、現在のイグアナのような植物食爬虫類の歯とよく似ています。
さらに骨の断面(骨組織)を調べた結果、彼らは孵化した後、現在の大型鳥類や哺乳類に匹敵するスピードで急激に成長したことも判明しています。

ルーフェンゴサウルスのイラスト
ルーフェンゴサウルスのイラスト

消化方法と胃石の謎

ルーフェンゴサウルスのお腹のあたりからは、丸みを帯びた石のまとまり(胃石)が多数見つかっています。
かつては、強力な胃の筋肉を使って石同士をこすり合わせ、食べた植物をすり潰す「胃粉砕器」として使われていたと考えられていました。

しかし近年の研究では、彼らの胃の筋肉はそこまで強くなかった可能性が指摘されています。現在では、胃石による物理的な消化よりも、巨大な腸内にいるバクテリアの働き(発酵)に頼って植物を消化・吸収していたという見方が強くなっています。

孵化前の赤ちゃんと、恐竜の子育て

晩成性(ばんせいせい)と早成性(そうせいせい)
孵化した直後の雛が、親の世話なしでは生きていけない(自力で動けない)状態を晩成性(ツバメやハトなど)、すぐに歩き回って自分で餌を食べられる状態を早成性(ニワトリやカモなど)と呼びます。

2013年、世界最古となる約1億9000万年前のルーフェンゴサウルスの「孵化前の赤ちゃん(胚)」の化石が大量に発見されました。 詳しく調べたところ、卵の中にいる間に大腿骨(太ももの骨)の長さが倍増しており、さらには筋肉を動かして卵の中で活発に運動していたことが明らかになりました。

親による子育て

ルーフェンゴサウルス幼体の全身骨格化石
ルーフェンゴサウルス幼体の全身骨格(2004年撮影)

さらに最新の生体力学的な分析で、孵化直後の赤ちゃんは骨の強度が低く、自力で立ち上がって歩き回ることができなかったことが証明されました。これは、現在の「晩成性」の鳥と同じ特徴です。

このことから、ルーフェンゴサウルスは巣にとどまる無力な赤ちゃんに対して、親が継続的に餌を運んで与えるといった、積極的な子育てを行っていたと考えられています。

1億9000万年前のタンパク質

化石に残るのは基本的に「骨」などの硬い部分だけで、タンパク質のような柔らかい組織は長い年月の間に分解されてしまうと考えられてきました。

しかし2017年、ルーフェンゴサウルスの化石から、1億9500万年前の「コラーゲン(タンパク質)」が発見され、世界中の研究者を驚かせました。 恐竜の血に含まれていた鉄分が化石化の過程で変化し、骨の微細な血管の穴を塞ぐ「密封剤」の役割を果たしたことで、タイムカプセルのように当時のタンパク質がそのまま保存されていたのです。

発見と論文記載、成長の記録

ルーフェンゴサウルスの切手

ルーフェンゴサウルスは、1930年代後半に中国雲南省で発見されました。1941年に古生物学者の楊鍾健(C.C. Young)によって詳細な論文が発表され、1958年には中国国内で初めて完全な恐竜の全身骨格として組み立てられました。同年にはこの骨格を描いた記念切手も発行されていますが、これは恐竜が国の公式切手になった世界初の事例です。

また、長年にわたり恐竜学者たちを悩ませてきた分類の謎も近年になって解明されました。これまで別の種類(ギポサウルス・シネンシス)だと思われていた小型の化石は「未成熟な幼体」であり、巨大な別種(ルーフェンゴサウルス・マグヌス)とされていた化石は「老齢の大きな個体」であることが証明されたのです。これにより、ルーフェンゴサウルスの一生を通じた成長の変化が明らかになりつつあります。

ルーフェンゴサウルスの切手・化石ギャラリー