ヘレラサウルスとは
学名(属名) | Herrerasaurus |
名前の意味 | ヘレラ(人名)のトカゲ Herrera(ヘレラ)[人名]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 竜盤目・獣脚類 (獣脚亜目・ヘレラサウルス科?) 竜盤目 (基盤的竜盤類・ヘレラサウルス科) |
全長 | 約3 - 6m |
食性 | 肉食 |
生息時期 | 三畳紀後期(約2億3000万年-2億2000万年前) |
下分類・種名 | Herrerasaurus ischigualastensis |
論文記載年 | 1963 |
属名の記載論文 | La presencia de dinosaurios saurisquios en los "Estratos de Ischigualasto" (Mesotriásico Superior) de las provincias de San Juan y La Rioja (República Argentina). Ameghiniana. 3. by Reig, O.A. 1963. |
特徴
ヘレラサウルスは、三畳紀後期(2億3000万年-2億2000万年前)にアルゼンチンに出現した原始的な恐竜の一種です。
ヘルレラサウルスと呼ばれることもあります。

奥は、復元模型です。
体長約3メートル、体重250-300kgと推定されています。前足(手)の指は5本ありました(*1)。後ろ脚の膝から上の短さと、膝から下の長さは、ヘレラサウルスが俊敏な2足歩行動物だったことを示唆しています。
ヘレラサウルスの最も驚くべき特徴の一つは、下顎の中ほどに関節があり、顎を前後にスライドさせることができた点です。これにより、獲物に食らいついた際に、歯を突き刺したまましっかりと獲物を保持する「鷲掴み」のような噛み方が可能だったと考えられています。

(*1)獣脚類の進化と前肢指の数の関係
単純に時期と指の数の推移だけを比べると、最古に近い恐竜エオラプトルの前足指も5本ありました。
コエロフィシスは指が4本、ジュラ紀中期のケラトサウルスも4本、ジュラ紀後期のアロサウルスは3本、白亜紀後期のティラノサウルスは2本指となっていきます。
獣脚類は進化に伴って、指を退化させていったようです。
発見と分類
1959年、ヤギ飼いだったヘレラ(Victorino Herrera)が、アルゼンチン・アンデス山脈サンファン市(San Juan)近郊の露頭で化石を発見します。イスチグアラスト層-Ischigualasto Formationと呼ばれるこの地層は、のちにエオラプトルを産出することでも有名です。

1963年、古生物学者オズワルド・レイグ(Osvaldo Reig)は、この発見に基づき新属新種ヘレラサウルス (Herrerasaurus ischigualastensis) を記載しました。なお、レイグは同じ論文で、別の化石に基づきIschisaurus cattoiという恐竜も記載しましたが、これは後にヘレラサウルスの同種(シノニム)であることが分かっています。

当初は断片的な骨格化石しか見つかっておらず、ヘレラサウルスの分類群についてはさまざまな意見が出されました。記載者のレイッチは当初、アロサウルスなどが属するカルノサウルス下目にあると考えていました。
1988年、ほぼ完全な頭骨化石が発見されます。この発見によって、カルノサウルス下目よりも上位の分類群-獣脚亜目の直下に置くことになりました。原始的な特徴が観察されたため、分化する以前の属と考えたのです。
さらに2017年には、ヘレラサウルス類として獣脚亜目から完全に独立した枝-新しい恐竜分類法が提唱されています。
ヘレラサウルスの切手・化石ギャラリー

