コンカベナトール

コンカベナトール

Concavenator

コンカベナトール(コンカヴェナトル)とは

学名(属名) Concavenator
名前の意味 クエンカのハンター
Cuence(スペインのクエンカ県の)[地名]-vēnātor(ハンター)[ラテン語]
分類 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・テタヌラ類アロサウルス上科)
全長 約6m
食性 肉食
生息時期 白亜紀前期(約1億2500万年前)
下分類・種名 Concavenator corcovatus
論文記載年 2010
属名の記載論文 A bizarre, humped Carcharodontosauria (Theropoda) from the Lower Cretaceous of Spain.
Nature 467 (7312): 203–206.
Ortega, F.; Escaso, F.; Sanz, J.L. , 2010.

特徴

コンカベナトール(コンカヴェナトル)の全身骨格化石
全身骨格化石(2015年撮影)

コンカベナトールは、スペインのラス・オヤス(Las Hoyas)でほぼ全身が保存された状態で発見されました。獣脚亜目に属する恐竜です。
名前の意味は、発見地スペインの地名にちなみ"クエンカのこぶのあるハンター"。日本語では、コンカベナトル、コンカヴェナトルと表記されることもあります。

コンカベナトール(コンカヴェナトル)のイラスト
コンカベナトール(コンカヴェナトル)のイラスト

コンカベナトールの全長は約6m、背中の後方にこぶのような盛り上がりをもつ珍しい恐竜です。
胴椎(背骨)は計13個。完全に関節されていた状態で見つかっています。後方2つの胴椎(第11と12)では神経棘が極端に長く、第10胴椎の約2倍以上の長さがありました。この奇妙な構造が何のためにあったのか、いくつかの説が提唱されています。

  • ディスプレイ説: 仲間を見分けたり、異性に求愛したりするための「見せる」ための器官だったという説です。生前は皮膚に覆われ、鮮やかな色をしていた可能性も考えられます。
  • 体温調節説: ラクダのこぶのように脂肪を蓄え、エネルギーを貯蔵したり、体温を一定に保ったりするのに役立ったという考え方です。

現在のところ、どの説が正しいのか結論は出ていませんが、このユニークなこぶがコンカベナトールの生態において重要な役割を果たしていたことは間違いないでしょう。

後脚(後肢)は、関節が外れているものの完全に残されていました。右後脚(後肢)には、一部皮膚の軟組織も保存されています。

アロサウルス上科カルカロドントサウルス類に属しています。

腕に羽毛の痕跡?鳥類との意外な共通点

コンカベナトールの化石を詳細に調査したところ、前腕の骨(尺骨)に、小さなこぶのような突起が並んでいるのが発見されました。これは「クイルノブ(羽軸突起)」と呼ばれる構造で、現生の鳥類では、風切羽のような大きな羽の軸を骨に固定するために存在します。

この発見は、コンカベナトールの腕にも、原始的な羽毛、あるいはそれに似た構造物が付着していた可能性を示唆しています。もちろん、コンカベナトールは空を飛ぶことはできませんでしたが、この羽毛状の構造は、求愛のディスプレイや腕の保護に使われたのかもしれません。

議論の的: この突起が本当にクイルノブ(羽軸突起)なのかについては、一部の研究者から疑問も呈されており、現在も議論が続いています。しかし、もしこれが羽毛の痕跡であれば、カルカロドントサウルスのような大型の肉食恐竜の系統で羽毛の存在を示す、最も初期の証拠の一つとなり、恐竜の進化を考える上で非常に重要です。

白亜紀のラス・オヤス(Las Hoyas)

コンカベナトール産状化石
コンカベナトール産状化石(2015年撮影)

コンカベナトールが生息した当時-白亜紀前期(約1億2500万年前)のラス・オヤスは、亜熱帯気候の湿地帯だったと考えれています。エビやワニ形類、魚類などの水棲生物を中心に、昆虫やトカゲ、鳥類の多様な化石が発見されています。
この地が大型獣脚類コンカベナトールのなわばりだったとすれば、生態系の頂点近くにいたのでしょう。

コンカベナトール(コンカヴェナトル)に会いに行こう

コンカベナトール(Concavenator)の化石は、以下の博物館で見ることができます。
ただし、展示内容が変更となっている可能性がございます。ご自身で、最新情報の確認をお願いいたします。

徳島県立博物館(徳島県・徳島市)

見られる化石の部位: 全身復元骨格(産状立体モデル)

見どころ/注目ポイント:常設展示室にて、コンカベナトールの全身復元骨格を見ることができます。この展示物は、発見されたときの姿勢(産状)を基に立体的に復元された非常にユニークなもので、福井県立恐竜博物館が制作した精密なモデルを基にしています。他ではなかなか見られない、躍動感とはまた違った「発見時のリアル」を感じられる展示です。

福井県立恐竜博物館(福井県・勝山市)

見られる化石の部位: 全身復元骨格(レプリカ)

見どころ/注目ポイント:日本におけるスペイン産恐竜の研究拠点とも言える博物館です。2014年の特別展「スペイン 奇跡の恐竜たち」を主催し、コンカベナトールの全身骨格復元を制作しました。常設展示や企画展示のラインナップに含まれることがあり、背中の独特なコブや、前腕に残る羽毛の痕跡(尺骨の突起)など、獣脚類の進化を考える上で重要な特徴を観察できます。

カスティーリャ=ラ・マンチャ古生物学博物館【MUPA】(スペイン・クエンカ)

見られる化石の部位: 実物化石(ホロタイプ)・全身復元骨格

見どころ/注目ポイント:コンカベナトールの発見地であるクエンカにある、世界で最も重要な「聖地」です。愛称「ペピート(Pepito)」と呼ばれるホロタイプ標本の実物が展示されており、非常に保存状態の良い骨格、皮膚の印象、そして最大の特徴である背中の突起を肉眼で確認できます。地元の誇りとして、生態復元モデルなどと共に大々的に展示されています。

コンカベナトールは2010年に記載された恐竜ですが、その特異な姿から人気が高く、発見地であるスペインの博物館(MUPA)ではメイン展示として扱われています。日本国内では、スペインとの共同研究を行ってきた福井県立恐竜博物館や、その関連展示を行う博物館で精巧な復元骨格を見ることができます。

コンカベナトール(コンカヴェナトル)の切手・化石ギャラリー