バリオニクス

バリオニクス

Baryonyx

バリオニクスとは

学名(属名) Baryonyx
名前の意味 重いカギ爪
barys(重い)[ギリシャ語]-onyx(カギ爪)[ギリシャ語]
分類 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・テタヌラ下目)
全長 約7.5-8m
食性 魚食
生息時期 白亜紀前期
下分類・種名 Baryonyx walkeri
論文記載年 1986
属名の記載論文 Charig, A. J.; Milner, A. C. (1986). Baryonyx, a remarkable new theropod dinosaur. Nature, Volume 324.

特徴

バリオニクスの全身骨格化石
全身骨格化石(2017年撮影)

バリオニクス(Baryonyx)、属名の意味は"重いカギ爪"。白亜紀前期(約1億2500万年前)、イギリスに生息していました。

バリオニクスのもつ前足の第1指は、約30cmの大きな爪になっています。それが属名"重いカギ爪"の由来となっています。

体長7.5m、体重1.2tと推定されています。アゴはワニのように細長く、96本の歯が生えていました。

バリオニクスの第1指-重い爪
バリオニクスの第1指-重い爪(2017年撮影)
大英自然史博物館所蔵

爪の使い方はよくわかっていませんが、「獲物(魚)を捕らえるときに突き刺した」、「川の水流に堪えるためのアンカーの役割をした」などの説が提唱されています。

バリオニクスの切手

2017年に行われた成長線の骨組織学研究により、成熟したバリオニクス個体(ポルトガルで発見された標本)は23-25歳で死亡していたことがわかりました。この辺りがバリオニクスの寿命だったと推定されています。

バリオニクスの食性

バリオニクスの切手

バリオニクスの化石が発見された際お腹部分から魚のうろこの化石が大量に見つかっていることと、ティラノサウルス等の歯とは異なり 歯の縁にステーキナイフのようなギザギザが無く、 その代わりに咥えたものが滑りにくい構造になっていることが、「魚食説」を後押ししています。

しかし、「魚だけ」というわけでもなかったようです。未消化の若いイグアノドンの骨もバリオニクスの腹部から発見されています。
バリオニクスは主に魚を食べていたものの、死体を食べるスカベンジャー(腐肉食者)として、あるいは時には陸上の恐竜も襲う捕食者であった可能性が示唆されています。

アマチュア化石収集家による発見

バリオニクスの第一指の爪
バリオニクスの第一指の爪(2005年撮影)

1983年1月、アマチュアの化石収集家ウィルアム・ウォーカーはイギリス・サリーのオークリー(Ockley)近郊で、大きな爪と指骨を見つけました。彼は最初、何の化石か分かりませんでしたが、その重要性に気づき、ロンドン自然史博物館の古生物学者に連絡。同年、イギリスの古生物学者アラン・チャリグ(Alan J. Charig)とミルナー(Angela C. Milner)が博物館スタッフと一緒にその土地の発掘調査を行い、半年間で頭骨を含む骨格の約65%、2tにも及ぶ化石を収集します。ウィルアム・ウォーカーは、先に発見していた大きな爪化石を博物館に寄贈しました。この発見は、それまで謎に包まれていたスピノサウルス科の生態を明らかにする上で、大きなブレークスルーとなりました。

1986年アラン・チャリグとミルナーは、世界的な科学誌NATUREで論文"Baryonyx, a remarkable new theropod dinosaur."を発表し、獣脚亜目の新属新種バリオニクス(Baryonyx walkeri)を記載します。
属名"Baryonyx"(=重い爪の意味)は第一発見者ウィルアム・ウォーカーを称え、彼が見つけた大きな爪に由来したものです。

バリオニクスの切手・化石ギャラリー