スカラリテス(アンモナイト)とは
学名(属名) | Scalarites |
名前の意味 | はしご状の石 scalaris(はしご状の)[ラテン語]-ites(石)[接尾語] |
分類 | アンモナイト亜綱・アンモナイト目ディプロモセラス科 |
生息時期 | 白亜紀後期(約8900万年-7060万年前) |
下分類・種名 | Scalarites scalaris Scalarites cingulatum Scalarites mihoensis |
論文記載年 | 1954 |
特徴:異常巻きアンモナイトの謎
スカラリテスは、白亜紀後期(約8900万年-7060万年前)に世界中の海で繁栄した「異常巻きアンモナイト」と呼ばれるグループの一員です。アンモナイトといえば、平たく巻いた殻が一般的ですが、白亜紀には、スカラリテスのように「巻いていない」ように見える、奇妙な形のアンモナイトが数多く登場しました。
のんびり屋アンモナイト?

北海道産出
スカラリテスのような緩い巻きの殻は、水の抵抗が大きく、速く泳ぐのには全く適していませんでした。このことから、彼らは海底近くを活発に泳ぎ回る捕食者ではなく、プランクトンのように水中をゆっくりと漂う、待ち伏せ型の捕食者であったと考えられています。
コンピューターによるシミュレーションでは、彼らは殻を縦に向けた姿勢で、安定して水中に浮かんでいたことが示唆されています。そして、触手を広げ、近くを通りかかる小さな甲殻類や他のプランクトンを捕食していたのでしょう。
異常巻きは「大成功」の証

北海道小平町産出
この奇妙な形は失敗作ではなく、生存競争が激しい白亜紀の海で、他のアンモナイトとは異なるニッチ(生態的地位)を開拓した、成功の証だったのです。実際、スカラリテスは北海道をはじめ、日本、ロシア、アメリカなど、世界中から発見されており、当時非常に繁栄していたことが分かります。
スカラリテスの切手・化石ギャラリー

