ハルペスとは
学名(属名) | Harpes |
名前の意味 | 鎌(かま) harpe(鎌)[ラテン語]に由来。湾曲した頭部の形状から。 |
分類 | 三葉虫綱-ハルペス目 |
生息時期 | デボン紀中期 |
下分類・種名 | Harpes kylindrorhachis Harpes macrocephalus Harpes perradiatus Harpes ungula Harpes venulosusなど |
論文記載年 | 1839 |
特徴

モロッコ産
ハルペス(Harpes)属は、かつてプティコパリア目(Ptychopariida )の中に分類されていましたが、現在では独立したハルペス目(Harpetida)として分類されています。
帽子のつばのような広がりが頭周りに発達しています。まるで、ロボットアニメに出てくるヘルメットのようです。
デボン紀中期(約4億1600万年-3億5900万年前)に生息していました。示準化石としても用いられます。
モロッコ産の化石が有名ですが、ドイツからも産出しています。

モロッコ産
マイクレクション
カタカナ表記では、"ヘルペス"と記載されることもあります。
ヘルメットの謎:驚異の感覚器官
ハルペスの最も奇妙な「帽子のつば(頭鞍前縁)」は、長年その役割が謎とされてきました。しかし近年の研究で、これが非常に高度な感覚器官であった可能性が示されています。
「ザル」ではなく「センサー」だった

モロッコ産
マイクレクション
つばの部分には小さな穴が多数空いています。
かつて、つばに空いた無数の微細な穴は、泥を濾して(こして)食べるための「ザル」だと考えられていました。しかし、現在では、この穴の一つ一つに感覚毛が生えており、広大なセンサーアレイとして機能していたという説が有力です。
このセンサーによって、ハルペスは水の流れや、獲物・敵が立てるわずかな振動、水中の化学物質などを敏感に察知することができたと考えられています。
待ち伏せの達人
この高度な感覚器官と、頭の中央にある高い位置についた小さな目を組み合わせることで、ハルペスは独特な生態を確立していたようです。普段は体のほとんどを海底の砂泥に埋め、目と「感覚のつば」だけを地表に出して、獲物が通りかかるのをじっと待ち伏せしたり、敵の接近をいち早く察知したりする、「待ち伏せの達人」だったのかもしれません。
発見と記載
ハルペス属は、1839年にドイツの古生物学者アウグスト・ゴルトフス(August Goldfuss)によって初めて記載された、歴史の古い三葉虫の一つです。当初は別の三葉虫の亜属として考えられていましたが、その後の研究で独立した目(もく)として分類されるほど、ユニークな特徴を持つことが明らかになりました。
化石は、特にモロッコやドイツのデボン紀の地層から、非常に美しい状態で発見されることで知られています。
ハルペスの切手・化石ギャラリー




