クリンダドロメウス

クリンダドロメウス

Kulindadromeus

クリンダドロメウスとは

学名(属名) Kulindadromeus
名前の意味 クリンダ(地名)の走者
Kulinda(クリンダ)[地名]-dromaios(走るのが速い)[ギリシャ語]
分類 鳥盤目・鳥脚類 (鳥脚亜目)
鳥盤目・新鳥盤類 (Neornithischia)
全長 約1.5m
食性 植物食
生息時期 ジュラ紀中期~後期
下分類・種名 Kulindadromeus zabaikalicus
論文記載年 2014
属名の記載論文 A Jurassic ornithischian dinosaur from Siberia with both feathers and scales.
Science, 345. Published 25 Jul 2014.
by Godefroit, P., Sinitsa, S.M., Dhouailly, D., Bolotsky, Y.L., Sizov, A.V., McNamara, M.E., Benton, M.J., and Spagna, P. 2014.

特徴:恐竜の常識を覆した発見

2014年に記載されたクリンダドロメウスは、それまでの恐竜、特に「羽毛」に関する常識を根底から覆す、革命的な発見となりました。それまで複雑な羽毛は獣脚類(竜盤目)特有のものと考えられてきましたが、鳥盤類であるこの恐竜から、驚くほど多様な皮膚の痕跡が見つかったのです。

羽毛とウロコのモザイク

クリンダドロメウスの化石が驚異的だったのは、全身の様々な部位の皮膚が保存されていた点です。その体は、まるでモザイクのように、部位ごとに異なる種類の羽毛やウロコで覆われていました。

クリンダドロメウスの頭部化石
クリンダドロメウスの頭部化石(2016年撮影)
  • 頭部と胴体:単純な糸状の、綿毛のような原毛で覆われていました。これは主に体温を保つための断熱材の役割を果たしたと考えられます。
  • すね(下腿):複数のフィラメント(繊維)が根元で束になった、より複雑なリボン状の構造物が見られました。これは仲間を見分けるためのディスプレイ(飾り)だった可能性があります。
  • 尾:鳥の足のように、大きく重なり合ったアーチ状のウロコで覆われていました。
  • 足首から先:六角形の小さなウロコ(楯状鱗板)で覆われていました。

この発見は、恐竜の祖先が羽毛の元となる構造を獲得しており、その後の進化の過程で、あるグループはそれを羽毛として発達させ、あるグループは二次的にウロコへと変化させた可能性を示唆しています。クリンダドロメウスの発見により、「ほとんどの恐竜は、何らかの形で羽毛を持っていた可能性がある」という考えが、一気に現実味を帯びたのです。

クリンダドロメウス(Kulindadromeus)のイラスト
クリンダドロメウスのイラスト

クリンダドロメウスの切手・化石ギャラリー