セラタイテスとは
学名(属名) | Ceratites |
名前の意味 | 角のような石 keras(角)[ギリシャ語]-ites(石)[接尾語] |
分類 | アンモナイト亜綱・セラタイト目・セラタイテス科 |
生息時期 | 三畳紀 |
下分類・種名 | Ceratites beyrichi Ceratites boeckhi Ceratites elegans |
論文記載年 | 1825 |
特徴と科学的重要性
セラタイテスは、その特徴的な縫合線と世界的な分布から、三畳紀を代表するアンモナイトとして知られています。
縫合線進化の「中間形態」

ドイツ産
アンモナイトの縫合線は、時代と共に単純なものから複雑なものへと進化しました。セラタイテスが持つ「セラタイテス型縫合線」は、その進化の美しい「中間段階」を示しています。
- ゴニアタイト型(古いタイプ):山も谷も、単純なジグザグ模様。
- セラタイテス型(中間タイプ):山は滑らかだが、谷は複雑に分岐する。
- アンモナイト型(新しいタイプ):山も谷も、シダの葉のように複雑に分岐する。
この複雑な縫合線は、殻の強度を高める役割があったと考えられています。
オスとメスの違い
セラタイテスには、殻の形が異なる2つのタイプが見つかっています。これはオスとメスの違い(性的二形)であると考えられており、おそらく、体が大きく殻の膨らみが強い方がメス(マクロコンク)、体が小さく細い方がオス(マイクロコンク)であったと推測されています。
三畳紀の「ものさし」
セラタイテスは、三畳紀中期の中でもごく限られた時代にのみ、オーストリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、イタリア、イスラエル、ロシア、トルコ、アメリカなど広い範囲で化石が見つかっています。世界中の海で繁栄しました。そのため、地質学者はセラタイテスの化石を使って地層の年代を正確に特定します。彼らは、三畳紀という時代を測るための、非常に重要な「示準化石」なのです。
大絶滅からの復活

ドイツWürzburg産
マイコレクション。縫合線を拡大してみると、山にさらに、小さなギザギザが刻まれていることを確認できます。
セラタイテスが生きていた三畳紀は、その前の時代であるペルム紀の終わりに起こった、地球史上最大規模の大量絶滅の直後の時代でした。この大絶滅では、全海洋生物の95%以上が絶滅し、アンモナイトの仲間も、ごくわずかな種を残してほぼ全てが姿を消しました。
セラタイテスを含む「セラタイト目」のアンモナイトは、この「死の世界」から生命が力強く回復していく過程で、爆発的に多様化し、大繁栄を遂げたグループです。彼らは、空席となった海の生態系で、新たな時代の支配者となることに成功した「偉大な生存者」の子孫なのです。
セラタイテスの切手・化石ギャラリー



