恐竜のしっぽ

地球の歴史上5回起きた大量絶滅 -6回目が進行中-

コラム / 恐竜のしっぽ
2014-09-21
 

地球46億年の歴史の中で、生物は5回の大量絶滅を経験しました。ビックファイブと呼ばれています。
そして、大半の生物学者は、現在6回目の大量絶滅が進行中であるといいます。

1回目 オルドビス紀末の大量絶滅

約4億4300万年前に発生した、生物種の85%が死滅した大量絶滅です。

オンニア(Onnia sp.)の集団化石
オルドビス紀の三葉虫

オルドビス紀初めには42℃(熱いお風呂くらい)あった海水温度も、オルドビス紀末になると23℃まで寒冷化が進みました。南極に近いゴンドワナ大陸(今のアフリカや南アメリカ)には、氷床が広がりました。
この頃の動物は陸上への進出を果たしておらず、海が唯一の生活場所でした。巨大な氷床が広がったことで、浅瀬の海辺に生息していた生物が住む場所を奪われていったようです。

また、NASAとカンザス大学が共同で「地球近辺で起きた超新星爆発によるガンマ線バーストが大量絶滅の原因となった可能性」も指摘しています。

それまで繁栄していた腕足類やコノドントなど多くの種が、このときに姿を消しました。

2回目 デボン紀後期の大量絶

約3億7400万年前、海中の酸素濃度減少と寒冷化が進み、生物種の82%が絶滅しました。
甲冑魚などの多くの海生生物が死滅しました。
高緯度より低緯度に住む生物のほうが、絶滅率が高かったことが分かっています。

比較的、川や沼などの淡水に生息していた魚などは生き延びたようです。棘魚類の海生種が87%絶滅しているのに対し、淡水種では30%の絶滅に留まっています。

この大量絶滅の後、両生類の陸上進出が始まります。

3回目 ペルム紀末の大量絶滅

約2億5100万年前の大量絶滅です。海生生物の95%、生物種の90%以上が絶滅したと考えられています。
史上最大の絶滅となったこの時期に、数を減らしつつあったすべての三葉虫の種は完全に絶滅しました。 アンモナイトも大きな打撃を受けています。ペルム紀末の大量絶滅時、アンモナイトでは95%以上の属が姿を消したと考えられています。 アンモナイトのゴニアタイト目は絶滅してしまい、かろうじてセラタイト目・プロレカニテス目の一部が生き残りその後に続く三畳紀に命運を繋ぎました。

ディメトロドン(Dimetrodon)の全身骨格化石
ディメトロドン(Dimetrodon)の切手

絶滅の原因についてはいくつかの仮説があります。
[世界規模で海岸線が後退した形跡があり、これによって食物連鎖のバランスが崩れた]、 [大規模な火山活動により大気に放出されたメタンと酸素が化学反応を起こして、酸素濃度が激減した]などの説が提唱されています。石炭紀末期~ペルム紀初期(約2億9900万年前-2億8000万年前)には35%あった酸素濃度が三畳紀初期(約2億5000万年前)には12%という低い値まで下落していたようです。この大気中酸素濃度の変化率は、多くの生物にとって堪えられるものではなかったはずです。

シベリアにはこのときの火山活動で堆積した溶岩の塊が残っています。100万年以上も噴火が続いたと考えられ、その溶岩の塊は日本国土の19倍=700万km²の範囲にまで広がっています。

これらの事象が複合的に当時の生物に襲いかかり、最悪の大量絶滅が引き起こされたのでしょう。

4回目 三畳紀末の大量絶滅

リストロサウルス(Lystrosaurus)の全身骨格化石
三畳紀前期に生息した単弓類(哺乳類型爬虫類)

約1億9900万年前の大量絶滅です。爬虫類や大型の単弓類(哺乳類型爬虫類)の多くの種が絶滅しました。生物種の76%が絶滅したと考えられています。 近年の研究では、この時期に1度ではなく複数回(少なくとも、約2億2000万年前と2億100万年前)の大量絶滅が起こっていることが判明しています。 海水位の急激な変動と激しい火山活動があったことがわかっています。

このころの恐竜は身体が小さかったこと、寿命が短く成長が早かったことから、個体数を素早く回復できたのでしょう。 三畳紀末の大量絶滅を乗り越えた恐竜が、この後、絶滅した生物種の生活圏を埋めるように大型化・多様化を始めます。

5回目 白亜紀末の大量絶滅

翼竜プテラノドン(Pteranodon)の切手

約6600万年前(*1)の大量絶滅です。恐竜や翼竜、魚竜、アンモナイト(*2)など生物種の70%が絶滅しました。
淡水に生息していた生物は影響が少なく、陸上や浅い海中の生物に多大なる影響を及ぼしました。

"約6604万年前メキシコ・ユカタン半島沖に落下した隕石衝突(それによって引き起こされた酸性雨などの環境変化)"が直接的な原因とする説が有力です。

(*1)かつて白亜紀(中生代)末と古第三紀(新生代)の境を"6550万年前"としていましたが、2013年の国際層序委員会発表では"6600万年前"に変更されています。 これは、2015年に惑星科学を専門とするポール・レニー教授が隕石の衝突時期を精密に計測した結果-"約6604万年(誤差±3万年)"とおおよそ合致しています。

(*2) アンモナイトの絶滅時期については、新生代古第三紀初期とする説が有力になっています。隕石衝突の気候変動によって絶滅したことは間違いありませんが、アメリカやオランダにおいて隕石衝突から数万年~数十万年後の地層からアンモナイトの化石が見つかっています。2005年ポーランド科学アカデミーから発表された論文によって報告され、広い支持を受けています。

アンモナイト(ドゥビレイセラスDouvilleiceras)の化石
白亜紀に生息したアンモナイトの一種。フランス産

6回目 現在進行中の大量絶滅

大半の生物学者が、「現在6回目の大量絶滅が進行中である」と警鐘を打ち鳴らしています。
今までの大量絶滅と異なっているのは、"ただ一種の生物種(=人間 ホモ・サピエンス)の行動(環境破壊)"が原因となっている点です。

現在、動物では5500種以上が絶滅の危機に直面しています。
今後40-50年の間に、哺乳類の25%・鳥類の15%が絶滅する道を歩いているといわれているのです。 状況があまり把握されていない魚類、爬虫類、両生類においても、少なくとも1200種が姿を消すと予測されています。

 

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