カマラサウルス
図鑑 / 恐竜のしっぽ
カマラサウルスとは
学名(属名) | Camarasaurus |
名前の意味 | 空洞のあるトカゲ kamara(空洞)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 竜盤目・竜脚形類 (竜脚形亜目・竜脚下目) |
全長 | 約15-23m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | ジュラ紀後期(約1億5500万年-1億4500万年前) |
下分類・種名 | Camarasaurus grandis Camarasaurus lentus Camarasaurus lewisi Camarasaurus supremus |
論文記載年 | 1877 |
属名の記載論文 | On a gigantic saurian from the Dakota eopoc of Colorado. Palaeontological Bulletin (25). by E. D. Cope. 1877. |
特徴
カマラサウルスは、ジュラ紀後期の北アメリカで最も栄えた竜脚形類の一種です。
スプーン型と呼ばれる形状です。ディプロドクスなどと比べると太く丈夫な構造でした。
カマラサウルスの歯は、ディプロドクス等と比べると太く丈夫でした。2006年に公表されたところによると、平均62日ごとに生え替わっていたことがわかっています。
他の竜脚形類と同じように消化を助けるための石がお腹から見つかっていますが、
短周期で生え替わった丈夫な歯は、より堅い植物を食べたか、口の中で草のすり潰し(咀嚼)をした可能性を示唆しています。
全長は15-23m。推定体重は20tに及びますが、ジュラ紀後期の竜脚類としては大きい方ではありません。
大人と子供の個体が一緒に見つかることもあり、群れで生活していた可能性があります。
巨大な足それぞれに5本の指があり、内側の指には防御のための大きく鋭い爪をもっていました。
様々な成長段階の骨格化石が発掘されており、竜脚形類の生態を理解するのに役立っています。
カマラサウルスの長距離移動
2011年、アメリカ・コラロド大学は、カマラサウルスの歯化石を分析した研究結果を発表しました。
「カマラサウルスは、毎年 季節によって300kmほどの長距離を移動していた」ことがわかったのです。
どうして歯の化石から、長距離移動の痕跡が見つかるのでしょう。
カマラサウルスの歯は約5ヶ月ごとに生え替わります。研究チームは、"高地(山岳部)と低地(平野部)の酸素同位体の割合が違うこと"と"歯の生え替わり期間"に着目しました。標高が高い土地ほど、酸素同位体(18)は低くなる傾向があります。カマラサウルスが水を飲むと酸素同位体が体内に取り込まれて、歯のエナメル質を形成します。含まれる酸素同位体の割合変化を、おおよそ30本の歯化石について調査しました。
その結果、歯の根元(歯根)と先(歯冠)では酸素同位体(18)の割合がまったく違っていました。
カマラサウルスは5ヶ月の間に、高地(山岳)と低地(平野)を移動していたことがわかったのです。
乾いた季節には食べ物となる植物が減るため低地を離れて植物の多い山岳に移動し、雨が降るようになると低地に戻った可能性が高いそうです。
コープとマーシュの化石発掘競争
1877年、アメリカ・コロルド州で地元の学校教師だったルーカス(Oramel W. Lucas)は断片的な脊椎骨の化石を発見します。
カマラサウルス(C. supremus)の胴椎スケッチ- 記載論文抜粋-1877年
出典:On the Vertebrata of the Dakota Epoch of Colorado.
the American Philosophical Society, Vol. 17, No. 100.
by E. D. Cope. 1877.
エドワード・コープ(Edward Drinker Cope)は、この化石を買い取り、1877年のうちにカマラサウルスを記載します。
チャールズ・マーシュ(Othniel Charles Marsh)も同年、竜脚類の新属新種モロサウルス・グランディス(Morosaurus grandis)を記載しましたが、現在ではカマラサウルスの一種と考えられています。
それ以降保存状態の良い化石の発見が相次ぎ、1925年チャールズ W.ギルモア(Charles W. Gilmore)によって精度の高いカマラサウルスが復元されました。
カマラサウルス属はエドワード・コープが命名しましたが、その下位分類である種のレベルでは エルワード・コープとチャールズ・マーシュが命名者(記載者)として入り混じっています。
記載年 | 論文記載者 | 種名 |
1877 | エドワード・コープ | Camarasaurus supremus |
1877 | チャールズ・マーシュ | Camarasaurus grandis |
1889 | チャールズ・マーシュ | Camarasaurus lentus |
話題
群馬県立自然史博物館でカマラサウルスの実物骨格が、東京・上野にある国立科学博物館では頭骨化石が、それぞれ常設展示されています。
2008年アメリカ・UGOBE社から<PLEO(プレオ)>の名称で癒やし(ペット)ロボットが発売され、人気となりました。
全長30cm、体重1.5kgのロボット<PLEO(プレオ)>のモデルとなったのが、カマラサウルスの幼体だそうです。