羽毛恐竜とは

羽毛恐竜って何?

 

化石に羽毛の痕跡が残された恐竜のことをいいます。

ミクロラプトル・グイの全身骨格(2004年撮影)

 

「羽毛恐竜」という学術的な分類がある訳ではなく、「羽毛の痕跡のある恐竜」の総称として使われています。

 

鳥類の恐竜起源説

 

1870年、イギリスのトーマス・ハクスレー博士が「恐竜と鳥の骨格に類似性が多いことから、鳥は恐竜の一部(獣脚類)から進化した可能性がある」との説を提唱しました。
「鳥類の恐竜起源説」です。

ところが、本当にそうであるならば、「進化の途中・過程で、鳥類のように羽毛のある恐竜が発見されるはず」ですが、当時はまだそのような化石は発見されていませんでした。
当時の恐竜研究の権威リチャード・オーウェンは「鳥類と恐竜は、系統的に大きく離れたものである」として、トーマス・ハクスレー博士の説を否定し、「鳥類の恐竜起源説」は支持されませんでした。

「鳥類の恐竜起源説」が脚光を浴びたのは約100年後、1964年にアメリカのジョン・オストロム博士がデイノニクスの骨格を調べて報告したことがきっかけでした。
ジョン・オストロムはデイノニクスの骨格を調査した結果、恐竜温血説を唱えていくことになります。 いわゆる「恐竜ルネッサンス」と呼ばれる、恐竜への考え方を大きく変える流れが起こりました。
鳥類に似たデイノニクスの発見によって、それまでひとびとが描いていた「鈍足でゆっくり活動する恐竜像」は覆され、「俊敏に動き回る恐竜像」が支持されていったのです。
体温を保つ活動的な恐竜と鳥との関係が議論されるようになりました。

しかし、「恐竜の鳥類起源説」を決定的にするためには、羽毛を持つ恐竜=羽毛恐竜の発見を待たなければなりませんでした。

 

 

羽毛恐竜の発見

 

1996年に発表された論文は、世界を驚かせました。
中国遼寧省で、初めて羽毛の痕跡のある恐竜化石が見つかったのです。

シノサウロプテリクスの化石

シノサウロプテリクス(Sinosauropteryx)と名付けられた体長1mの恐竜化石には、綿毛の痕跡がはっきりと残っていたのです。(その後、羽毛に見えたこの痕跡はケラチン状の皮膚との見解も出されましたが、現在では「羽毛であったこと」が分かっています。)

シノサウロプテリクスの生体復元模型

 

その後、カウディプテリクス(Caudipteryx)やディロング(Dilong)、ミクロラプトル(Microraptor)など、多くの属で羽毛の痕跡を残す恐竜化石が発見されています。

 

現在では比較的大型の種からも羽毛恐竜が見つかっており、鳥類との類似性もクローズアップされるようになって、「鳥類は、恐竜の子孫である」のは通説となっています。竜盤目-獣脚類から鳥類へ進化していきました。

 

 

鳥盤目の羽毛恐竜

 

恐竜は進化の初期段階で[竜盤目]と[鳥盤目]に枝分かれしました。[竜盤目]のうち[獣脚亜目]に含まれる系統が、後に鳥類に進化していきます。

2014年、「恐竜はそもそも、初期の段階から羽毛をもっていた可能性がある」ことを示唆する発見がありました。鳥類へ向かう系統とは異なる[鳥盤目]の恐竜化石からも、羽毛の痕跡が見つかったのです。

2001年にプシッタコサウルス(Psittacosaurus)(鳥盤目-周飾頭類)の尾から剛毛の跡が見つかっていますが、それまで羽毛恐竜の発見は鳥への進化系統である竜盤目・獣脚類に集中していました。

プシッタコサウルスの尾(2012年撮影)
  毛の痕跡が残されています。

 

ところが、2014年に発見された初期の鳥盤目・鳥脚類クリンダドロメウスは全身を羽毛で覆われていたのです。

クリンダドロメウスの生体復元模型

クリンダドロメウスの生体復元模型

クリンダドロメウスには身体の部位によって、短針状の羽毛やダウンフェザー状の羽毛など異なる質の羽毛痕跡が残されていました。クリンダドロメウスの発見は、恐竜分類の多くの種で保温のための羽毛をもっていた可能性を示しています。